世界銀行は6月17日、発展途上国での気候変動ファイナンス(グリーンファイナンス)を加速させる必要性を説く提言レポートを発表した。気温上昇を2℃未満に留めるためには毎年4兆米ドル(約430兆円)のファイナンスが必要だが、2017年と2018年の気候変動向け開発金融は過去最大のファイナンス額を達成したとは言え、550億米ドル(約5兆円)にすぎず、構造的な変革が必要となっている。
発展途上国では、経済発展に伴い二酸化炭素排出量は増加する傾向にあり、さらに気温上昇による災害を大きく受けやすい状況にある。そのため、エネルギー、交通輸送、不動産、工業での気候変動緩和だけでなく、気候変動適応でも巨額なファイナンスが必要となっている。
一方、世界には国際開発金融機関(MDBs)と呼ばれる世界銀行、アジア開発銀行(ADB)、欧州復興開発銀行(EBRD)、米州開発銀行(IDB)、アフリカ開発銀行(AfDB)、アジアインフラ投資銀行(AIIB)等があるが、それらが仮に全てのファイナンスを脱炭素や気候変動レジリエンスの分野に集中させたとしても、必要な額の4%にも満たない。そのため、MDBsは、民間金融機関や政府の資金を活用することが不可欠と指摘した。
新型コロナウイルス・パンデミックでは、グリーンリカバリーの概念が浮上したことで政府ファイナンスが増えてきているが、政府だけの財政でも足りず、民間資金を活用していくことが重要と説いた。
民間資金を活用する方策では、政府は助成金や制度融資だけに頼るのではなく、民間ファイナンスの障壁を取り下げる手法が必要と説明。例えば、株式投資、特定の政策達成を条件付ける政策ファイナンス、技術支援、アーリーステージのリスクキャピタル提供、信用保証を多用すべきと提言した。また、発展途上国へのカーボンプライシング制度の導入支援等も有効と伝えた。
同レポートでは、各々のファイナンス手法について、詳細の内容を解説。国際機関及び各国政府に対し政策の転換を促すとともに、企業や機関投資家にとっても政策アドボカシーの方向性を指し示すものとなっている。
【参照ページ】Significant Potential to Increase Impact of Climate Finance, New Report Finds
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