インドでの雲母(マイカ)採掘に児童労働が関与している問題の解決を目指す「責任ある雲母イニシアチブ(Responsible Mica Initiative)」が主導するグローバル規模の組織体は7月27日、インドのジャールカンド州政府と協働で、雲母のサステナビリティ・フレームワークを策定したと発表した。策定作業には、業界企業やNGOも加わり、マルチステークホルダー型での合意形成がとられた。
雲母は、塗料、電材、化粧品、切削油など産業用途で幅広く利用されている物質。世界の主な産地は、中国、ロシア、フィンランド、米国、韓国、カナダなどだが、インドも上位10位内に入っている。中でも、マイカをシート状に伸ばし電子部品等の材料となっているマイカシートの生産ではインドは世界トップクラスに位置している。一方、インドの雲母生産では、多数が手を使った違法採掘で、多くの児童が採掘作業に従事している。
責任ある雲母イニシアチブに現在参画しているのは、全部で60社・団体。LVMH、ロレアル、エスティローダー、コティ、クラランス、シャネル、レブロン、ロシェ、H&M、BASF、独Schwan Cosmetics、韓国CQV、中国・坤彩(Kuncai)、中国・欧克加工(Oxen)、インドSudarshan、仏terre de hommes、フィリップス、メルク、アクゾノーベル、米PPG、米アクサルタ、米Sun Chemical等。日本企業では、資生堂、三好化成、ヤマグチマイカが加盟している。
【参考】【国際】責任ある雲母イニシアチブ発足。ロレアルなど欧米中韓印の化粧品や電気電子企業が参画(2017年3月11日)
ジャールカンド州は、雲母の世界的な生産地。特にギリディとコダーマの2地区が中心地となっている。今回のグローバルな組織体は、雲母の市場規模を今後2倍から5倍に増加させ、インド国内でジャールカンド州が占める雲母輸出シェアを今後3年から5年で、現在の20%から40%に伸ばすことを目的とし結成された。一方で、雲母生産を持続可能にするため、今回、「持続可能な雲母方針フレームワークとビジョン」を策定した。
同フレームワークで提言された主な内容は、
- 持続可能な雲母タスクフォースの創設
- 雲母サプライチェーンのためのサステナビリティ基準策定
- 草の根団体グラム・パンチャヤートを含めた雲母自助グループの組成
- ジャールカンド州開発基金の設立
- 持続可能な雲母開発を可能にするための長期契約を可能にするための同州への投資促進
- 持続可能な雲母の採掘リース合意の新設
- 労働者登録制度を設けた労働者保護
- トレーサビリティ確保、内部監査プログラム、第三者監査制度の導入
【参照ページ】Sustainable Mica Policy and Vision Prepared by Responsible Mica Initiative with Jharkhand Government and Civil Society Support
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