国連のGlobal Investors for Sustainable Development alliance(GISD)は7月21日、SDGs(国連持続可能な開発目標)の達成に向けたファイナンスを促進するための提言をまとめたレポートを発表した。
GISDは、アントニオ・グテーレス国連事務総長に構想し、2019年に10月に発足。国連持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた民間資金の動員を加速するため、グローバル企業のCEO等30人で構成している。GISDの共同委員長は、アリアンツのオリバー・ベイトCEOとヨハネスブルグ証券取引所のレイラ・フーリエCEOが就任。日本からは、10月の発足時には、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)理事兼CIOだった水野弘道氏が委員に選ばれていたが、退任後は、GPIFの宮園雅敬新理事長に委員を交代した。
【参考】【国際】国連、SDGsへの民間資金動員拡大でGISD発足。世界から30人が委員。GPIFから水野CIOも(2019年10月17日)
今回発表レポートでは、新型コロナウイルス・パンデミックという新たな人道危機に立ち向かい、SDGsを達成するためには、胆力が必要と指摘し、国際協力や官民連携を強調。テクノロジーと指標計数把握の分野に多額の投資が必要との考えを示した。一方、ESG投資の世界では、規制当局、評価機関、格付け会社、スタンダード策定機関等が、不協和音を発しながら競い合っていることを問題視。力強い動きにするためには調和が必要と要望を伝えた。金融機関に対しては、SDGsの達成に向けた新たな金融イノベーションの実現に向けて力を出し惜しみしていると課題を指摘し、企業に対しては長期思考にコミットメントすることを求めた。
その上で、提言としては、10個挙げた。
- バーゼル委員会の気候関連財務リスク・ハイレベルタスクフォース(TCFR)でのESGリスク監督フレームワーク策定とNFGSの連携
- 科学的根拠に基づく各セクターの移行シナリオを策定した上で、信用格付会社が気候変動シナリオ分析
- 金融機関と事業会社の双方での気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)開示の義務化。中小企業には「コンプライ・オア・エクスプレイン」型の基準を適用
- 各国の規制当局の審査指標の統一化。手法の透明性確保
- G20から国際会計基準審議会(IASB)と財務会計基準審議会(FASB)に対し、会計基準にマテリアルな非財務情報開示の統一ルールを適用するよう要請
- マテリアルなサステナビリティを考慮することに関するフィデューシャリー・デューティー(受託者責任)の明確化
- パリ協定の国別目標(NDCs)と自発的国別レビュー(VNRs)の質と目標、基準の引き上げ
- 政府助成金でのSDGsとの整合性の確保
- 国際金融公社(IFC)の協調融資運用ポートフォリオ・プログラム(MCPP)のようなブレンデッドファイナンス型のファンド創設
- サステナブルボンドやサステナビリティ・リンクボンドの多様化と大量発行
GISDに対しては、すでに欧州委員会からは積極的な協議の依頼が来ており、両社は連携して導入を進めていく考え。また他国の政府についても連携を求めた。また企業やNGOからも提言も歓迎するとした。
【参照ページ】Renewed, Recharged and Reinforced Urgent actions to harmonize and scale sustainable finance
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