JFEホールディングスは9月15日、グループの主力事業である鉄鋼事業において、2030年度の二酸化炭素排出量を2013年比で20%削減する目標を発表した。日本の製鉄大手がパーセントでの削減目標を設定したのは極めて異例。
二酸化炭素排出量の非常に多い製鉄業界では、日本では各企業が個別に目標や方向性を設定するのではなく、業界団体の日本鉄鋼連盟が計画を示してきた。日本鉄鋼連盟の計画は、2009年に方向性の枠組みを固め、自社での削減だけでなく、供給する高機能鋼材の使用の段階での削減、国外への省エネ技術展開による削減の3つの観点から二酸化炭素排出量の削減に貢献することを打ち出してきた。また2014年には、2030年までの「低炭素社会実行計画フェーズII」を策定し、パーセントではなく、業界全体での削減量実数で目標値を設定した。
JFEホールディングスは、日本鉄鋼連盟での目標設定だけでなく、今回企業単位での削減アクションを実施するため、新たにJFEスチール社長直轄のプロジェクトチームを発足。企業単位での削減アクションを初めて打ち出した。背景としては、気候変動問題の解決が企業価値の向上につながるという見方を示し、2020年を「気候変動対応推進の節目の年」と位置付けたと明かした。
長期計画については、日本鉄鋼連盟が2018年に策定した長期ビジョンの中で、水素還元方式、炭素回収・貯蔵(CCS)、フェロコークスの新技術の開発を進め、2100年までに二酸化炭素ネット排出量をゼロにするロードマップを提示している。それに対し、今回JFEホールディングスは、達成時期を「2050年までのできるだけ早い時期」という表現にあらためた。
【参考】【日本】日本鉄鋼連盟、2100年のCO2排出ゼロに向けたロードマップ発表。超革新的製鉄技術必要(2018年11月21日)
また同社は9月24日に発表した統合報告書の中で、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に沿った情報開示を実施した。同社の関係者からは、TCFDの策定時期に、TCFDの動きに反対する声明も出ていたが、最終的にTCFDガイドラインに沿った情報開示を推進する方向に舵を切った。
現在まで、日本製鉄からは企業単位での具体的な削減目標はまだ発表されていない。
神戸製鋼所は、2030年までに現状水準から110万tの削減を打ち出しているが、パーセントでの削減目標は設定されていない。ちなみに2019年のスコープ1とスコープ2の排出量は1,650万t。一方、省エネ技術の海外移転については、7月13日に、同社の米国子会社Midrex Technologies、三井物産、ヴァーレとともに、新会社を設立すると発表。鉄鉱石を天然ガス等で還元する神戸製鋼所の「MIDREX」プロセスを海外展開していく。
【参照ページ】JFEグループのCO2排出量削減目標について
【参照ページ】「JFEグループレポート2020(統合報告書)」の発行について
【参照ページ】鉄鋼業への低炭素鉄源および低炭素製鉄ソリューション提供に向けた取り組みの検討開始
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