世界経済フォーラム(WEF)は10月21日、各国政府に対し、新型コロナウイルス・パンデミックからの経済復興及び経済転換に向け、GDPに加え、「Prosperity」「Planet」「People」「Institutions」の4つの観点から、複数の指標でのマクロ経済政策を実行するよう求める提言レポートを発表した。
WEFは、経済復興において、GDPの回復だけに着目することは、経済、社会、環境の包括的な「リセット」を実現する上で不十分と断言。経済分析を実現する上で、GDP以外の非財務指標も分析することをメインストリーム化することが重要と指摘した。また、ビジネス分野では、ESG指標が重要となっていることから学び、国単位での経済マネジメントでも非財務指標を活用すべきと言及した。
(出所)WEF
今回提示したフレームワークでは、まず重要指標として君臨してきたGDPについても、市場価格ベースを集計してきた既存の手法を改善し、介護労働やインフォーマル・セクターの状況も踏まえた指標として作り直す必要があると提示。その上で、経済指標についても、所得格差や金融レジリエンス指標を加えるよう提案した。
また、経済指標以外には、Planet指標として、二酸化炭素排出量、気候変動緩和・適応コスト、所得分配インパクトを、People指標として人的資本(教育・スキル)、人的資本(公衆衛生)、社会レジリエンス、Instutions指標として公的機関の信頼度に関する指標等を打ち出した。
WEFは、ニュージーランド等の国は、すでにGDP以外の指標を活用したマクロ経済政策を導入しようとしていることを高く評価。しかしまだ世界全体では大きな改善が必要と指摘した。今回の提案は、政府関係者やエコノミスト(経済学者)に向けられたものだが、マスメディアに対しても同様の思考の転換が求められているといえる。
【参照ページ】World Economic Forum Launches Call to Action for Governments to Set Targets beyond GDP Growth to Guide Economic Recovery
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