国連環境計画(UNEP)は10月26日、日本を含む先進国から発展途上国への中古車輸出が大気汚染と気候変動をもたらしていると警鐘を鳴らすレポートを発表した。中古車輸出と環境負荷に関する包括的なレポートは世界初。
ガソリン車やディーゼル車は、世界的に二酸化炭素と大気汚染物質を排出していることで知られる。特に、環境性能改善が進んだ新型車が多く走行している先進国と異なり、使い古された中古車が多数走行している発展途上国では、先進国以上に、自動車からの大気汚染や気候変動が深刻な問題となっている。
同調査では、2015年から2018年までの間に輸出された中古車は1,400万台。そのうち発展途上国に輸出されたものが全体の80%を占め、半分以上がアフリカに送られていた。
今回146ヶ国の法規制を分析したところ、輸入国のうち中古車に対する安全性や環境性能での規制が「弱い」もしくは「非常に弱い」の企業が全体の3分の2。さらに、モロッコのように、使用年数や排出基準で規制をかけている国では、ハイブリッド車や電気自動車の中古車が手頃な価格で流通しており、コスト面と環境面の双方で、望ましい効果が生まれていることもわかった。安全面でも、使用年数規制がない輸入国では、それ以外の国と比べても、交通事故死傷者率が高かった。
UNEPは、国連欧州経済委員会(UNECE)の国連ロード・セーフティ・トラスト等の支援を受け、中古車輸入国に使用年数規制を導入するイニシアチブを進めている。UNEPは同イニシアチブの最初のターゲットをアフリカに定めており、すでに、モロッコ、アルジェリア、コートジボワール、ガーナ、モーリシャス等が導入を決め、それ以外の国でも関心が高まっているという。
西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)も9月、2021年1月から燃料と自動車に関する規制を導入することを決定しており、ECOWAS加盟国は、中古車の使用年数規制を導入することも奨励されている。
UNEPは、今後もさらなる調査が必要とし、今後はバスやトラックも含め、分析を進める構え。
【参照ページ】New UN report details environmental impacts of export of used vehicles to developing world
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