米製薬大手バイオジェンとエーザイは6月8日、両社が共同開発してきたアルツハイマー病治療薬「ADUHELM(アデュカヌマブ)」が、米食品医薬品局(FDA)から世界で初めて承認されたと発表した。これまで難病だったアルツハイマー病の治療薬が誕生したことが大きな注目を集めている。
アデュカヌマブは、ヒトモノクローナル抗体で、脳内のアミロイドβプラークを減少させることにより、アルツハイマー病(AD)の病理に作用する初めてかつ唯一の治療薬。アデュカヌマブは、2007年にNeurimmuneが共同開発ライセンス契約に基づき導入。バイオジェンとエーザイは、2017年10月から全世界でアデュカヌマブの共同開発を進めてきた。今回フェーズ3臨床試験で、アミロイドβプラークの減少が確認され、FDAから迅速承認された。迅速承認では、今後、検証試験による臨床的有用性の確認が必要となり、バイオジェンが対照試験を始める。
今回の承認を受け、バイオジェンとエーザイは早速、治療薬へのアクセスを高めるためのプログラムを複数発表した。まず、バイオジェンが、アルツハイマー患者に1対1で相談に応じる「パーソナル・バイオジェン・サポート・サービス・コーディネーター」制度を開始。また、バイオジェンとエーザイは、米最大の臨床検査大手ラボコープや、マヨ・クリニック・ラボラトリーズと共同プログラムを整備し、医師と患者がアルツハイマー病診断に必要な脳脊髄液(CCF)診断検査にアクセスしやすいようにする。
さらに、バイオジェンは、アルツハイマー病を発症するリスクが高く、さらに診断アクセスも少ないアフリカ系米国人、ラテン系米国人に治療へのアクセスを高めるため、CVSヘルスの「プロジェクト・ヘルス」を通じて、相談できるようにする。また、心的外傷後ストレス障害や外傷性脳損傷が発生しやすい退役軍人に対しては、退役軍人健康管理局(VHA)と連携し、退役軍人が治療にアクセスしやすいにようにする。
アデュカヌマブの薬価では、4週間に1回の点滴の卸売取得コスト(WAC)は、74kgの患者の点滴当たり4,312米ドル(約45万円)。維持量(10mg/kg)での年間費用は、56,000米ドル(約610万円)。しかし、適格民間健康保険の加入者は、輸液費用支援プログラム等により、自己負担費用を0米ドルまで削減できるという。さらに、米政府のメディケア・アドバンテージ・プランを通じてメディケアの対象となっている患者には、年間自己負担上限がある。
【参照ページ】ADUHELM™(アデュカヌマブ) アルツハイマー病の病理に作用する初めてかつ唯一の治療薬として米国FDAより迅速承認を取得
【参照ページ】FDA grants accelerated approval for ADUHELM™ as the first and only Alzheimer’s disease treatment to address a defining pathology of the disease
【参照ページ】Biogen and Eisai launch multiple initiatives to help patients with Alzheimer’s disease access ADUHELM
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら