英シンクタンクは7月、世界銀行と国際通貨基金(IMF)が、第26回国連気候変動枠組条約グラスゴー締約国会議(COP26)に向け進めている「グリーン・デット・スワップ」の議論について、分析ペーパーを発表した。
同レポートを発表したのは、プラネット・トラッカー。グリーン・デット・スワップとは、発展途上国政府が抱える対外債務の一部を、NGOや先進国政府等が肩代わりする代わりに、当該国は環境プロジェクト保護を実施というスキーム。概念は1980年代からあり、1984年に世界自然保護基金(WWF)のトーマス・ラブジョイ氏が提唱。国際環境NGOコンサベーション・インターナショナル(CI)が、1987年にボリビア政府に対し実施したのが世界初の事例。但し、当時ボリビア政府が抱えていた40億米ドルの対外債務のうち、65万米ドルでの案件組成だった。グリーン・デット・スワップの概念が誕生した背景には、発展途上国政府は負債の返済のために短期的な開発プロジェクトを行い、結果として環境破壊が伴っているという認識がある。
他にも案件が模索されてきたが、今日まで主要な金融スキームにはなれていない。その要因は様々だが、今回のレポートでは、グリーン・デット・スワップに関心を示したプレーヤーがほぼNGOしかいなかったという点も指摘されている。
しかし、約40年の時を経て、世界銀行とIMFが関心を示してきたことが大きな注目を集めている。現在グリーン・デット・スワープは、「Debt-for-Climate(DFCやD4C)」「Debt-for-Nature(DFN)」とも呼称でも表現されるようになっている。
同レポートは、昨今、気候変動・生物多様性と経済成長を同時に追求するため、自然を軸としたソリューション(NbS)という概念が広がっていることにも着目。国際機関が主導的な役割を果たすことで、先進国政府や金融機関もグリーン・デット・スワップの担い手になる可能性があると期待を示した。
【参照ページ】Green Debt Swaps
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