英デービッド・キング卿が議長を務める独立諮問機関「気候危機アドバイザリーグループ(CCAG)」は8月26日、IPCC第6次評価報告書(AR6)の第1作業部会(WG1)報告書(自然科学的根拠)の発表を受け、気候変動の国際目標を「2050年カーボンニュートラル」から「2050年カーボンネガティブ」にまで引き上げるべきとのレポートを発表した。
【参考】【国際】IPCC、第6次報告書のWG1報告書公表。2040年に1.5℃上昇。2100年に2m海面上昇のリスク(2021年8月10日)
CCAGは、2021年6月に発足した科学者の自発的集団で、現在11ヶ国から15人の科学者が招聘されている。日本人はいない。
今回発表した報告書「The Final Warning Bell」では、各国が今世紀半ばまでにカーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)を達成しても、大気中に存在する温室効果ガスは減らず、大気中の二酸化炭素濃度は540ppmまで上昇し続ける可能性があると指摘。この状況では、気温が1.5℃ラインを維持できる可能性は50%しかない。
そこでCCAGは今回、世界各国の政府に対し、気候変動緩和のためには「削減、除去、修復」の3つのアクションを同時に進める必要があると提言した。削減では、現在の国別削減目標を3倍にまで引き上げ。除去は、大気中の二酸化炭素を除去する技術開発・研究への大規模投資。修復では、気候システムを部分修復するための技術開発・研究への大規模投資。
2015年の第21回国連気候変動枠組条約パリ締約国会議(COP21)では、毎年300億米ドルの公的資金を投入するための基金設立で合意しているが、今回CCAGは300億米ドルでは全く不十分であり、カーボンネガティブに向け、大幅に投資を増やす必要があると強調した。
【参照ページ】Net zero by 2050 is “too little too late”: world-leading scientists urge global leaders to focus on net negative strategies
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