国連人権理事会(HRC)は10月8日、安全、清潔、健康的で持続可能な環境への権利、発展の権利、人権と先住民、新型コロナウイルス・パンデミックの若者への人権的影響の4つの決議を採択した。日本政府は4つの決議案に対し、賛成2、反対1、棄権1だった。
1つ目の安全、清潔、健康的で持続可能な環境への権利決議では、生物多様性や生態系に関するものを含め、安全、清潔、健康的で持続可能な環境への権利を、人権の一つと規定した。また、同権利を享受するための政策を適宜採用するよう各国に奨励するとともに、国連総会に検討を要請した。賛成43、反対0、棄権4の賛成多数で可決された。棄権したのは、日本、中国、インド、ロシア。
2つ目の決議は、発展の権利に関するもの。国連総会は1986年に「発展の権利に関する宣言」を採択し、この権利を不可譲の権利と宣言。それぞれの個人とすべての人民は、市民的、経済的、社会的、文化的、政治的発展に参加し、それに貢献し、かつそれを享受する権利を有することを指す。今回の決議では、国連理事会は、国連人権高等弁務官に対し、発展の権利の実現に関する既存の課題の分析を行い解決に向けた勧告を行うことと、発展の権利に関するワーキンググループの活動を支援するための提案を実施することを要請した。
同決議に対しては、国連人権理事会の理事国47ヶ国のうち、29ヶ国が賛成、13ヶ国が反対、5ヶ国が棄権。賛成多数で可決した。反対したのは、日本、韓国、英国、ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、オーストリア、チェコ、ポーランド、ブルガリア、デンマーク、ウクライナで、先進国やEU加盟国が中心。一方、賛成したのは、中国、ロシアや発展途上国。
人権と先住民族に関する決議では、人権理事会の第51会期中に開催される「先住民の権利に関するパネルディスカッション」で、新型コロナウイルス・パンデミックの文脈における社会的・経済的復興計画が先住民に与える影響をテーマとすることを、全会一致で採択した。
新型コロナウイルス・パンデミックの若者への人権的影響の決議では、国連人権高等弁務官に対し、若者の人権に与える影響を緩和する方法について、詳細な調査を実施することを要請した。調査では、青少年団体の声も聞くことを規定した。
【参照ページ】Human Rights Council adopts four resolutions on the right to development, human rights and indigenous peoples, the human rights implications of the COVID-19 pandemic on young people, and the human right to a safe, clean, healthy and sustainable environment
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