英インパクト投資推進NGOインパクト・タスクフォース(ITF)は12月13日、世界(特に新興国)での社会・環境へのプラスのインパクトを加速させるため、中小企業を含め、企業の情報開示の強化を、各国政府に提言する報告書を発表した。特に新興国に関しては、公的資本だけでは、極めて不十分な一方、社会の変化とテクノロジーの飛躍により、民間資本を大規模に動員する機会が生まれていると強調した。
インパクト・タスクフォースは、2021年にG7議長国の英国政府が設立を主導した独立民間組織。世界40ヶ国の企業、金融機関、政府、社会セクターの合計100団体以上から120人以上が結集している。民間資本をより効果的に活用することで、より大きく、より包括的なポジティブな社会的・環境的インパクトを与えることをミッションとしている。
今回の提言では、まず、IFRS財団が11月に組成した「国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)」が、インパクト報告に関するベースラインを作成することを支持。また、気候変動での「ジャスト・トランジション(公正な移行)」で、「気候・環境対策の推進」「社会経済的分配と公平性の向上」「コミュニティの声の増大」の3要素を提示し、官民が連携して追求することも求めた。加えて、各機関投資家の需要に適した投資ファンドを増やし、国際開発金融機関や各国の開発金融機関が民間投資の動員をより効果的にする役割を果たすべきとした。
中小企業の情報開示強化に関しては、大企業が専門知識を活かして、支援することも推奨。インパクト評価やインパクト会計の手法整備では、官民の協力が重要とした。
GSGは、2つのワーキンググループが今回の報告書作成を担当。インパクト測定・評価を所管するワークストリームAは、SAPのダグラス・L・ピーターソンCEOが議長を務め、評価・報告の透明性、調和、完全性を議論。政策と投資手段の開発を所管するワークストリームBは、2022年4月にシュローダー会長に就任予定のエリザベス・コーリー氏が議長を務め、開発金融機関が民間資本を動員することを重視するようマンデートを変更することを提言した。
タスクフォースは他に、機関投資家の投資を阻害する要因を解消するために、新興市場にも保証会社を設立することを提言した。
インパクト・タスクフォースの動きは、国際インパクト投資推進NGOのGlobal Steering Group for Impact Investment(GSG)も支援。GSGは2013年、当時のG8議長国だった英キャメロン首相の呼びかけで「G8社会的インパクト投資タスクフォース」が創設され、2015年8月にGSGと改名した。現在、日本を含め世界33ヵ国及びEUで諮問委員会が組成されている。
【参照ページ】Impact Taskforce calls on G7 to take urgent action to mobilise more institutional capital for a just and inclusive transition to net zero
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