国連環境計画(UNEP)は1月27日、2月末にケニアのナイロビで開催される予定の年次総会「国連環境総会(UNEA)」の第5会期第2部の議題設定の状況を発表した。今回の第2部は、2月にオンラインで開催されていた第1部の内容を踏まえ、多くの決議を予定している。内容に関しては、ESGで関心の高まる環境分野での議題が用意されており、大きな注目を集めている。
海洋プラスチック汚染については、ルワンダとペルーが、法的拘束力のある国際条約制定に向けた政府間交渉委員会(INC)の創設で決議案を提出。中身は、プラスチックのライフサイクル全体のカバーし、プラスチックにサーキュラーエコノミーを導入することを目的としている。日本からも、海洋プラスチック汚染に対処するため、第6会期(UNEA-6)までに法的拘束力のある国際制度の確立に向けたINC創設を提言する決議案を提出している。
自然を軸としたソリューション(NbS)では、インドネシアが起草し、パキスタンと協働で「持続可能な湖沼マネジメント」の決議案を提出。水質、侵食、堆積、水生生物多様性に関する湖沼の保護・再生、健全な利用、湖沼マネジメントでの国や地域での開発計画や政策への統合、持続可能な湖沼マネジメントのための国際ネットワーク作りを提唱している。EUからも、コスタリカ、コロンビア、パキスタンの賛同を得て、持続可能な開発を支援するため、窒素マネジメントでのNbS促進で決議案を提出した。
化学物質マネジメントでは、スイスが、2020年以降の化学物質と廃棄物の健全な管理を促進・支援するための包括的かつ野心的な新制度を求める決議案を提出。内容は、各国政府が、化学物質クラスターのための制度強化に関する特別プログラムを5年間延長することを決定し、国連環境計画(UNEP)事務局長に対し、特に鉛、カドミウム、ヒ素の汚染がもたらすリスクに対処するための国際行動を特定するよう要請している。
同じく化学物質マネジメントでは、コスタリカ、ガーナ、マリ、ノルウェー、スイス、英国、ウルグアイが、化学物質、廃棄物、汚染に関する行動を支援するための科学政策パネルの設置を求める決議案を提出。すでにUNEA-4の決議で、UNEP事務局長に対し、科学-政策インターフェース(SPI)を強化するためのオプション評価を準備することが要請されたことを受けたもの。アドホックのオープンエンドワーキンググループによるパネル設置の提案している。
鉱物資源でも、スイスが起草し、アルゼンチン、コンゴ民主共和国、ガーナ、セネガルが共同で決議案を提出。アドホックのオープンエンドワーキンググループが、加工・精錬を含む鉱山のライフサイクル全体を通じ、鉱物採掘による環境影響を軽減し、責任あるビジネスプラクティスを強化することを求めている。
【参照ページ】Resumed segment of UNEA-5 to address chemicals, marine plastics, green recovery
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