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【日本】マイクロ波化学、昭和電工や三井化学と共同開発開始。量研とはリチウム実鉱石の溶解に成功

 マイクロ波化学と昭和電工は6月28日、マイクロ波を用いて、使用済みプラスチックから基礎化学原料を直接製造するケミカルリサイクル技術の共同開発を開始したと発表した。

 今回開発する技術は、容器包装等に用いられた使用済みプラスチックにマイクロ波を照射して分解し、エチレンやプロピレン等の基礎化学原料を製造する技術を開発する。まず、基本技術の確立に向け、2022年末までに、マイクロ波加熱分解物の生成条件の検討、目的成分の収率向上に向けた触媒等の探索、分解条件や分解プロセスの最適化等を進める。

 対象物に照射したマイクロ波が誘電体に直接作用し、内部加熱、選択的加熱、急速昇温ができる特性を活かす。マイクロ波は他の加熱方法と比較し対象物のみを加熱。マイクロ波吸収体(フィラー)を活用してマイクロ波のエネルギーを使用済みプラスチックに集中的に与え、使用済みプラスチックを基礎化学原料へ効率よく分解できる。また、従来の分解法と比較して分解時のエネルギー消費を抑えることが可能。
 
 また、マイクロ波化学と三井化学は5月31日、マイクロ波技術を用いて、マットレス等に使用される軟質ポリウレタンフォームの廃材を分解し、直接原料にケミカルリサイクルする技術の実用化を目指したアクションを開始した。

 軟質ポリウレタンフォームは、ポリオールとイソシアネートを主成分とした発泡樹脂。柔らかくて復元性が高い特性を活かし、マットレス、自動車座席シートや椅子等のクッション材や、台所用スポンジタワシ等、工業製品から産業資材、日用品まで幅広い用途がある。だが、未だに国内では軟質ポリウレタンフォームを含むポリウレタンのケミカルリサイクルは商業レベルで行われた例がなかった。

 今回、マイクロ波化学の有するマイクロ波プラスチック分解技術「PlaWave」を用い、軟質ポリウレタンフォームを分解する過程において、従来技術よりも消費エネルギーの大幅な低減や2倍以上の分解速度向上が期待できる。2022年に小型実証検証を始め、2023年度に実証試験を開始。2025年度までの事業化を目指す。

 さらにマイクロ波化学は7月13日、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(量研)の量子エネルギー部門六ヶ所研究所との間で、リチウム鉱山で採鉱し選別された実際のリチウム鉱石であるスポジュミン精鉱に、省エネ精製技術を適用し、マイクロ波加熱温度300℃で溶解することに成功した発表した。

 レアメタルの一つであるリチウムの溶解では、現状、スポジュミン精鉱を1,000℃以上の煆焼処理後、濃硫酸による250℃以上の焙焼処理が必要。しかし、今回、量研が開発した化学処理とマイクロ波加熱を組み合わせたアルカリ・マイクロ波溶融技術を実際のリチウム鉱石に用いて実証試験した。具体的には、プラント設計に用いる工学データの取得のため、これまでに適用できていたグラム規模を扱うラボ装置から、100g規模を取り扱うマイクロ波化学のマイクロ波ベンチ装置に約100倍スケールアップし、効率よくマイクロ波が照射できるよう、さらに工夫して溶解実証試験した。

 その結果、塩基試薬による常圧下での300℃のマイクロ波加熱処理と常圧・室温下での酸溶解により、全溶解させることに成功。従来の1000℃以上の煆焼処理技術で必要だった1,000℃以上の反応を、同技術により300℃という非常に低い温度で進めることができた。同結果は、リチウム以外のレアメタル鉱物の溶解にも反映できるという。

【参照ページ】使用済みプラスチックから基礎化学原料を直接製造するマイクロ波による新たなケミカルリサイクル技術の共同開発を開始
【参照ページ】マイクロ波を用いた軟質ポリウレタンフォームのケミカルリサイクル
【参照ページ】マイクロ波加熱を用いる省エネ・CO2削減精製技術でリチウム実鉱石の溶解に成功 ー 社会実装に向け加速 ー

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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