持続可能な発展を目指すグローバル企業団体WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)は7月14日、各国で進むインフレと労働者の不平等の拡大を懸念する声明を発表した。
今回の発表では、新型コロナウイルス・パンデミックやロシアによるウクライナ侵攻により各国で進むインフレが貧困層を苦しませていると指摘。インフレは過去例の無い勢いで進行しており、企業、投資家、資産運用会社は、不平等に関する課題に取り組むべきと主張した。
WBCSDは今回、不平等撲滅に向けた最も基本的なアクションとして、まずディーセント・ワークの必要性を強調。従業員がその家族を養うことが可能な収入を得て、安定した雇用と安全な労働条件を享受することが重要であり、すべての人に平等な機会と公平な待遇の提供につながるとした。一方で、雇用の質とビジネスの成功は正の相関関係があるにも関わらず、多くの企業は雇用を労働力、そして最小化すべきコストとしてみなしていると苦言を呈した。
投資家が不平等への取り組みに関心を持っていることにも言及。2020年の年金基金の資産総額は35兆米ドル(約4,800兆円)以上であり、金融セクターの資産運用額の3分の1以上を占める。この年金基金に拠出する労働者の42%が、労働者の賃金と労働条件を年金基金が投資を意思決定する際に考慮すべき事項として挙げている。低賃金で質の低い労働はすべての国の経済パフォーマンスで悪影響を及ぼすとした。
具体的なアクション例として、英ESG投資推進NGOのShareActionによる英小売大手セインズベリーへの株主総会への決議案提出を挙げた。英国における食料品小売業で働く42%の労働者の給与は実質生活賃金を下回っており、これに異を唱え、17%の支持を得ることができた。
最後に、生活コストの上昇に対して企業が価値とリスクをどのように分配するべきかを見直すべきだと主張。企業が生活賃金を支払うことで不平等を解決し、労働者の完全な社会参加を可能にすると訴えた。
【参照ページ】Responsible investors can help businesses tackle inequality
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