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【バングラデシュ】世界銀行、気候変動対策の早急アクションで経済成長加速。気候難民も防止

 世界銀行は10月31日、バングラデシュの「国別気候・開発報告書」を発行。世界的に気候変動緩和が進まなければ、バングラデシュの経済成長を大きく阻害され、大規模な気候難民が発生すると発表した。

 同報告書は、バングラデシュが気候危機に対処するために必要な優先的行動と資金調達の必要性を概説したもの。過去発表されてきた論文等を参照し、バングラデシュの将来についての全体像を分析した。

 バングラデシュは、例年、熱帯性サイクロンの影響で年間約10米億ドル(約1,400億円)の被害が出ている。また、気候変動緩和が十分に進展しない場合は、2050年までに農業GDPの3分の1が喪失。また、気候変動を理由とした国内難民民が1,300万人が発生する可能性があると指摘した。深刻な洪水が発生すると、GDPが9%も減少する可能性があるという。

 実際に2022年5月から6月にかけ、バングラデシュとインド北東部の特にアッサム地方では、ヒマラヤ山脈からの大量の流水とモンスーン豪雨が重なり、900万人以上が被災。両国で900万人以上が被災し、約250人が死亡している。バングラデシュでは、農地が53,000ha以上水没。Arifuzzaman Bhuiyanバングラデシュ洪水予報・警報センター長は、数十年の被害となり、「国土の3分の1が浸水し、150万人以上が被災した」と語ったことが大きく報道された。

 一方、バングラデシュの現在の二酸化炭素排出量は世界全体のわずか0.4%。しかし、人口が多いバングラデシュが著しい経済成長を遂げた結果、排出量は1990年の1億1,500万tから2018年には2億2,100万tへと急増。予測値では、2022年に1億5,500万t、2024年には2億7,600万tと増えていく。排出量の大半は、国内で産出できる天然ガス。さらに、大気汚染コストは、年間GDPの約9%にものぼり、すでに経済成長を阻害している。バングラデシュは、パリ協定に基づく国別削減目標で2030年までに21.8%削減することにコミットしている。

 世界銀行の今回の報告書は、バングラデシュが注力すべき分野を特定している。まず、人間中心の開発アプローチ。気候変動の影響の地域差を考慮し、地域主導の適応策や小規模な解決策を重視。アフォーダブル住宅、レジリエントな交通網、水や廃棄物の管理等を含め、公共サービス、自然を軸としたソリューション(NbS)、都市部でのインフラ開発が気候変動適応を進めるとした。

 2つ目は、カーボンニュートラル化での開発便益の享受。エネルギー、輸送、産業、農業からの排出は、比較的低いコストで削減でき、大気汚染、健康コスト、雇用に関連する大きな共通利益をもたらすとした。特にバングラデシュは、大気汚染物質と二酸化炭素の双方を削減する政策を実施することで、2030年以内に大気汚染による死亡を半減させ、100万人近くの命を救うことができるという。また、国際競争力や農村の所得も高めることもできると強調した。

 3つ目は、環境と制度の調整。適切な法規制と地方政府の権限強化、金融セクターのグリーン化を進めるべきとした。さらに、気候変動に対応した農業や再生可能エネルギー等、国内外の民間セクターの関与の拡大も必要とした。

 同報告書は、バングラデシュは、気候変動対策のために中期的に最大125億米ドル(約1.8兆円)の追加資金を調達できると推定。資金調達の選択肢としては、予算の優先順位付け、炭素税、外部資金、民間投資等を挙げた。さらに、投資を優先させるべき地域として、バリンド、沿岸地帯、ハオール地域、ヒルトラクト等の気候ホットスポットや、貧困率の高いミメンシン西部ウパジラ、ランプール東部ウパジラ、クルナ県南部を明示した。

【参照ページ】Urgent Climate Action Crucial for Bangladesh to Sustain Strong Growth

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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