米エネルギー省(DOE)とDOEの国家核安全保障局(NNSA)は12月13日、ローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)で、人類史上初となる核融合の添加実験を行い、投入したエネルギー以上のエネルギーを出力することに初成功したと発表した。
米連邦政府は現在、短中期的には再生可能エネルギー発電及び水素エネルギーの増強を進めるとともに、長期的にはオプションの一つとして核融合型原子力発電所も視野に入れている。特に、エネルギー省は、核融合エネルギー開発を、政府資金だけでなく、民間投資を呼び込むことで、新たな産業を確立しようとしている。
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今回の実験では、2.05MJのエネルギーをターゲットに供給し核融合が発生。3.15MJの核融合エネルギーを得た。これにより、初めて慣性核融合エネルギー(IFE)の最も基本的な科学基盤を確立した。実用化にはまだ多くの技術開発課題が残っていることにも言及した。
米政府では、1960年代に、LLNLの先駆的な科学者が、レーザー型核融合の仮説を提唱。その後に1988年から1994年までLLNL所長を務めることになる物理学者ジョン・ナコルズ氏が主導し、慣性閉じ込め方式核融合の構想が完成。必要なパーツとなる、レーザー、光学、診断、ターゲット製造、コンピュータモデリングとシミュレーション、実験設計の研究開発をに60年以上の進めてきた。
カリフォルニア州リバモアのLLNLにある国立点火施設(NIF)は、スポーツスタジアムほどの大きさ。LLNL職員だけでなく、DOEのロスアラモス国立研究所、サンディア国立研究所、ネバダ国家保安施設、ゼネラル・アトミックス等、数多くの機関との協働で実験が実現した。また、ロチェスター大学レーザーエネルギー学研究所、マサチューセッツ工科大学、カリフォルニア大学バークレー校、プリンストン大学等の学術機関、英核兵器機関、仏代替エネルギー・原子力委員会等の国際パートナーも協力した。
米連邦政府は、エネルギーと兵器の双方で、核融合の可能性を追求する。
【参照ページ】DOE National Laboratory Makes History by Achieving Fusion Ignition
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