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【ASEAN】ASEANタクソノミー第2版発行。石炭火力を例外なく段階的廃止。ガスでも基準厳しく

 ASEAN財相・中央銀行総裁会合(AFMGM)が創設した「ASEANタクソノミー委員会(ATB)」は3月27日、ASEAN版タクソノミー「サステナブルファイナンスのためのASEANタクソノミー」の第2版を発行した。約2年半ぶりに改訂した。

【参考】【ASEAN】加盟国政府、ASEANタクソノミー発行。詳細基準は今後検討。CCUSなし石炭火力は除外(2021年11月11日)

 ASEANタクソノミー委員会の構成メンバーは、加盟10カ国の金融当局。さらに、ASEAN資本市場フォーラム(ACMF)、ASEAN保険監督社会議(AIRM)、ASEAN金融統合シニアレベル委員会(SLC)、ASEAN資本市場開発作業委員会(WC-CMD)が策定に協力している。

 ASEANタクソノミーは、EUタクソノミーと同様、官民双方の金融に適用するものとして設計。具体的には、気候変動緩和、気候変動適応、生態系の健全性と多様性の保全、資源レジリエンスとサーキュラーエコノミーの促進の4つの環境領域(EO)を対象としている。

 さらに、初版では、遵守必須基準(EC)として、「Do Not Significant Harm(DNSH)」「移行のための救済措置(RMT)」の2つを掲げていたが、第2版では「社会的側面(SA)」を追加し、合計3つとなった。また、初版では、EOとECに関するネガティブインパクト側の評価では、セクター共通の「基礎フレームワーク(FF)」に基づき、グリーン度合いに応じて「緑」「オレンジ」「赤」の3段階で色分けした。一方、第2版では、実務上あえて「赤」のラベルを付与する必要がないとの判断から、「赤」分類が削除された。

 加えて、初版の時点では「開発中」となっていたセクター別のポジティブインパクト側を「プラス基準(PS)」も、エネルギー・空調設備セクターのみが先行して完成。他のセクターについては、次回以降に策定する。同基準は「テクニカル・スクリーニング基準(TSC)」と呼ばれている。開発対象となるセクターは、農林水産業、エネルギー・空調設備、製造業、輸送・ロジスティクス、上下水道、建設・不動産の6重点セクターと、情報通信(ICT)、専門・科学・技術、炭素回収・利用・貯留(CCUS)の3つの「貢献セクター」。PSの評価では、「緑(ティア1)」「オレンジ(ティア2)」「オレンジ(ティア3)」の3段階で暫定的に評価。将来的には国際的なタクソノミーと整合するものを「緑」、それ以外のものを「オレンジ」の2分類にしていく考え。


(出所)ATB

 今回の大きな特徴は、石炭火力発電のTSCで、段階的廃止を決めた点。日本政府は、Unabated(削減努力のない)な石炭火力発電所は、廃止の対象外との立場を採っており、アンモニア混焼の石炭火力発電はグリーンなソリューションとして主張しているが、ASEANはこの考えを否定した。

 具体的には、2022年12月31日以降に新設された石炭火力発電プロジェクトは全て「緑(ティア1)」「オレンジ(ティア2)」から除外。その上で、緑(ティア1)の基準では、2040年までに廃止かつ商業運転期間は35年が上限となった。またアジア開発銀行の「エネルギー転換メカニズム」や、JETP等の国際スキームで、排出量総量そのものを削減できることも示さなければならない。

 オレンジ(ティア2)の基準でも、2050年までの石炭火力発電廃止かつ商業運転期間は35年が上限。さらに、2028年1月1日以降に建設される石炭火力発電は「オレンジ(ティア3)」からも除外される。またオレンジ(ティア3)でも、商業運転期間は35年が上限となっている。


(出所)ATB

 ガス火力発電では、まず石炭ガスは石炭エネルギーとして扱い、ガス火力発電ではないことを明記。その上でライフサイクル全体での排出係数に応じて分類した。「オレンジ(ティア3)」でも1kWh当たり510g以下に抑えなければならない。炭素回収・利用・貯留(CCUS)等で排出係数を削減する場合には、別途、二酸化炭素の輸送に関する基準と、貯留に関する基準も満たさなければならない。水素混焼に関しては直接的な言及はないが、「再生可能な非化石気体・液体との発電・混焼」の基準では、ガスと同一のライフサイクル全体の排出係数基準が課せられる。

(出所)ATB

 一方、原子力発電に関しては今回は記載がない。

 ASEANでは、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムでも国別のタクソノミーが開発済み、もしくは開発中。これらの国別タクソノミーは、ASEANタクソノミーと整合させるとの考えですでにASEAN各国は一致している。

【参照ページ】ASEAN FINANCE SECTORAL BODIES RELEASE ASEAN TAXONOMY FOR SUSTAINABLE FINANCE VERSION 2
【参照ページ】ASEAN Taxonomy for Sustainable Finance Version.2

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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