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企業栄養評価の国際団体「栄養アクセス・インデックス(Access to Nutrition Index:ATNI)」は12月14日、東南アジア7カ国を対象に生後6ヶ月から36ヶ月までの幼児を対象としたベビーフードの評価結果を発表した。
今回の発表は、東南アジアにおける市販栄養補助食品(CPCF)の品質や規制向上のためのイニシアチブ「東南アジアにおける市販栄養補助食品の改善のためのコンソーシアム(COMMIT)」が実施したもの。COMMITは国連児童基金(UNICEF)の東アジア太平洋地域事務所(EAPRO)が主導している。
今回の発表では、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムの7カ国113社を対象に調査。過去5年間でCPCF市場は45%成長し、2022年の総売上高は7.5億米ドル(約1,060億円)を超えた。最も市場が大きいのはインドネシアであり、次いでベトナムとなる。
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(出所)ANTI
今回の評価では、WHOが開発した幼児向けの栄養補助食品の健康性を評価するための栄養・表示プロファイリング・モデルが用いられ、栄養要件と栄養に関するラベルの表示要件を満たすかを調査。対象企業113社のうち、全製品が栄養要件を満たしていた企業は15社、1つの製品も栄養要件を満たしていない企業は42社だった。日本企業はベトナムで事業を展開する雪印ビーンスターク、森永製菓、田靡製麺の3社が評価対象となり、いずれの企業も1つの製品も栄養要件を満たしていない42社に分類された。
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(出所)ANTI
全製品の栄養成分毎の評価では、脂質の要件を満たした製品は95%、食塩は63%、砂糖・甘味料は56%だった。ラベル表示の要件を満たした企業はゼロ。苦情に関する表示要件を満たした製品は1%、母乳育児に関する表示要件を満たした製品は17%に留まった。
同団体がCPCFの販売する企業に対して推奨した内容は、
- CPCFの栄養要件だけではなく、適切な表示に関しても検討し、ガイダンスに沿った継続的な改善を行うこと
- 菓子、甘いスプレッド、ガム、ジュース、砂糖や甘味料を使用した牛乳等の飲料を3歳未満への販売を控えること
- CPCFへの食塩、砂糖の含有量を減らし、砂糖や甘味料の使用をしないこと
- 同じ製品であっても国ごとに製品分類が異なり、評価や表示方法に差異が発生するため、評価や表示内容を統一できるよう検討すること
- 調査した製品の中には英語でも現地語でもない言語で表記がされていたため適切な言語で製品を入手できるようにすること
【参照ページ】ATNI launches company benchmarking on Commercially Produced Complementary Foods in seven Southeast Asian countries
【参照ページ】COMMIT to better regulations for first foods
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