国連食糧農業機関(FAO)は12月11日、アジア太平洋地域の食料安全保障と栄養に関する報告書を発表した。新型コロナウイルス・パンデミックと、食糧、飼料、燃料、肥料、金融の「5F危機」が重なり、脆弱な立場にある人々の健康と生活に長期的かつ大きな影響を与えていると報告した。
同報告書によると、栄養不良の人口は2022年時点で世界で7.4億人であり、アジア太平洋地域はこの半分の3.7億人を占める。食糧不安に晒されている人口は、2022年時点で世界で9億人、アジア太平洋地域は4.2億人となっている。生殖年齢にある女性の貧血率、5歳未満の発育阻害、消耗症、過体重の割合等の状況も悪く、世界の栄養目標水準に達していない。
(出所)FAO
健康的な食事を摂るために必要な購買力平価(PPP)は、2021年に同地域で前年比で5.3%上昇しており、世界平均の4.2%より高い。そのため、同地域の約2.3億人が必要な費用を捻出できていないとした。
特に南アジアでは、栄養不足の人口が全人口の15.6%に当たる3.1億人、中程度以上の食糧不安の人口が8.9億人であり、南西諸島では住民の5人に1人が栄養不良だと推定されている。また、女性の方が男性よりも状況が悪く、10%が深刻な食糧不安に、25%が中程度の食糧不安に直面している。
FAOは持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けて、農業と食料システムの変革が必要であり、調整された統合的な行動と投資が急務と訴えた。
【参照ページ】FAO report: In 2023, in Asia-Pacific millions of people have been unable to afford a healthy diet – women fare worse than men
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