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EU上院の役割を担うEU加盟国閣僚級のEU理事会とEU下院の役割を担う欧州議会は2月2日、サーキュラーエコノミーの一環で修理権指令案について政治的合意に達した。修理サービスへのアクセスをより簡単、迅速、透明かつ魅力的なものにし、消費者が買替えではなく修理を求める状況を作り出す。今後、双方での立法手続に入る。
【参考】【EU】欧州委、消費者の修理権で新たなEU指令案発表。メーカーや修理事業者向けの新ルール(2023年3月26日)
同指令の適用対象商品は、EU法により修理可能要件を定めている製品。洗濯機、食洗機、冷蔵庫、掃除機等が該当する。また、将来的に欧州委員会がエコデザイン規則を通じ、新製品に修理可能性要件を導入することで、適用対象商品を拡大することができる設計になっている。
メーカーは、適用対象商品に関し、必要な修理を合理的な時間内に、合理的な価格で行うことを義務付けられる。製品保証期間中は、消費者は交換だけでなく、修理を選択できるようになる。消費者が修理を選択した場合、保証期間は12ヶ月延長。さらに各EU加盟国の判断で、保証期間を延ばすこともできる。
さらにメーカーは、スペアパーツに関する情報を自社ウェブサイトに掲載することや、妥当な価格でスペアパーツを消費者が入手できるようにすること、独立修理事業者が中古または3Dプリンターによるスペアパーツの活用を妨げる行為を禁止することが義務付けられる。
また、修理申込フローを迅速化するため、消費者に修理サービスに関する重要情報を提供するためのEU統一の「欧州修理情報フォーム」を策定。修理条件、作業完了時間、価格、代替品等の情報等がフォームには盛り込まれる。修理事業者は欧州修理情報フォーム以外の独自のフォームを提供することも可能だが、独自フォームに記載された条件は修理事業者を法的に拘束する。フォームの提供は無料だが、修理可否を判断する診断サービスは有料にすることも可能。
加えて、消費者と修理事業者のマッチングを促進するための「欧州オンライン修理プラットフォーム」の創設についても盛り込まれだ。同プラットフォームは、EU全域の情報を掲載し、各EU加盟国のセクションも設けられる。加盟国毎に修理プラットフォームを追加で創設することも可能。
【参照ページ】Circular economy: Council and Parliament strike provisional deal on the right to repair directive
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