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英金融大手バークレイズは2月9日、エネルギー企業のカーボンニュートラル化に向けたエネルギー関連ファイナンス方針「気候変動ステートメント」を改訂したと発表した。石油・ガスの上流プロジェクトを対象としたファイナンスを禁止した。
今回の主な改訂事項は6つ。
- 2021年12月31日以降に最終投資決定された石油・ガス上流の拡張プロジェクトや関連インフラに対するプロジェクトファイナンスやエネルギーグループへの直接ファイナンスを禁止
- 2021年12月31日以降に最終投資決定された石油・ガス上流の拡張を行うエネルギーグループに対する新規ファイナンスの制限
- 2021年12月31日以降に最終投資決定された長期の拡張を行う非多角化エネルギーグループに対するファイナンスの制限
- アマゾン熱帯雨林破壊や、超重質油を含む非在来型石油・ガスに対する追加的制限
- エネルギーグループに対し、2030年のメタン削減目標、2030年までに全ての定常的・非本質的なガス脱却とガスフレアリングの終了へのコミットメント、2026年1月までにスコープ1とスコープ2でのカーボンニュートラル目標の設定の義務化
- エネルギーグループに対し、2025年1月までに移行計画(トランジションプラン)またはカーボンニュートラル戦略策定の期待
「エネルギーグループ」の定義は、石油・ガス事業が売上全体の20%以上を占める企業を指す。また「非多角化エネルギーグループ」とは、石油・ガス事業が売上のほぼ全てを占める非国有エネルギー企業を指す。
エネルギーグループに対しては、同社が策定した「クライアント移行フレームワーク(CTF)」を基に事前評価を行う。CTFには、メタンを含むスコープ1と2の削減目標設定、スコープ3総量削減目標や削減コミットメントの設定、生産拡大計画、低炭素ビジネスモデルの事業と計画等が含まれる。事前評価は、上級管理職で構成する「顧客移行レビューフォーラム(CTRF)」で判断する。非多角化エネルギーグループや、石油・ガスの拡張計画が上流設備投資総額の10%以上を占めるエネルギーグループは、毎年CTRFでレビューを受けなければならない。
その上で、スコープ1とスコープ2の短期削減目標がパリ協定と整合しない企業、OGCIやOGMP2.0等の業界ガイダンスに沿った2030年までのメタン排出削減目標が設定されていない企業、2030年までに全ての日常的もしくは非本質的なガス抜きとフレアリングを終了するコミットメントをしていないエネルギーグループに関しては、2026年1月1日以降、ファイナンスを禁止する。さらに、石油・ガス設備投資計画総額の10%以上が拡張プロジェクトであるエネルギーグループに関しては、2024年2月9日以降、ファイナンスを禁止する。
【参照ページ】Barclays focuses capital and resources on supporting energy companies to decarbonise
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