
フッ素系温室効果ガス(Fガス)の段階的廃止を規定したFガス規則が3月11日、発効した。2025年から2036年にかけEU域内でのハイドロフルオロカーボン(HFC)の生産を段階的に廃止することが義務付けられた。
同規則は、2023年10月にEU理事会と欧州議会の政治的合意に達し、2024年2月に成立。今回、発効した。同規則に基づき、HFCメーカーは、2025年から、2011年から2013年までの平均年間生産量の60%に相当する生産権が付与される。さらに割合は2036年までに段階的に減り、2036年には15%となる。2050年までにゼロにする。
【参考】【EU】EU理事会と欧州議会、Fガスの段階的廃止で政治的合意。今後立法審議へ(2023年10月6日)
HFCをあらかじめチャージした冷凍機、エアコン、ヒートポンプ、定量吸入器は、割当制度の対象となる。当該機器を市場に出す場合、輸入事業者とEU域内メーカーは、割当制度に基づくHFCの使用量を確保し、「適合宣言書」を提出することが義務付けられる。
同規則では、HFCから、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)への冷媒転換が予想されている。HFOは、日本のメーカーが強みを持ち、日本政府は「グリーン冷媒」として、自然冷媒とともにHFOも位置づけている。
だがスウェーデンNGOのChemSec(国際化学物質事務局)は3月11日、HFOは、地球温暖化係数(GWP)は低いものの、環境中に放出されると有毒なPFASの一つトリフルオロ酢酸(TFA)に分解することが知られていると指摘。実際に、2016年から2019年の間にフッ素系ガス総量の6%から24%に増加している。
最近の研究では、HFCからHFOへの移行により、地表水中のTFA濃度が最大250倍まで上昇したことが確認されている。ChemSecはHFOも同様に規制し、自然冷媒への転換を進めるべきという立場を採っている。
【参照ページ】EU-Rules
【参照ページ】New EU regulation on refrigerant gases can accelerate the PFAS pollution crisis
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