
国際的な携帯電話通信業界団体GSMアソシエーション(GSMA)は2月、カーボンニュートラルに関する同業界の報告書「Mobile Net Zero」の2024年版を発表した。同報告書の発行は今回が4回目。
GSMAの気候変動イニシアチブ「GSMAクライメート・アクション・タスクフォース」には、現在66社がメンバーとして加盟し、53社がカーボンニュートラル目標を掲げている。CDPへの情報開示を行う企業は、2022年の67社から2023年には70社に増加。世界のモバイルインターネット接続数の半分以上を占めるまでになった。日本のNTTドコモ、ソフトバンク、KDDIの3社も加盟している。開示の質も向上しており、2023年には過去最高の19社がAリスト入りした。
携帯電話通信事業者の温室効果ガス排出量の4分の3はスコープ3排出量。スコープ3排出量のうち90%は「購入した物品・サービス」「資本財」「燃料・エネルギー 関連活動」「販売した製品の使用」「投資」の5つのカテゴリーから排出されている。約3分の2の企業がCDPに対して10以上のスコープ3カテゴリーを報告した。
世界のインターネットトラフィック量は、データ通信と接続の需要が高まったことで、2019年から2022年にかけて2倍に増加。モバイル接続数は7%増加した。一方、温室効果ガスのスコープ1との2排出量は6%減少しており、特に欧州の事業者は50%減だった。
温室効果ガス排出量の低減に貢献しているのが再生可能エネルギー。2021年から2022年の削減量のうち再生可能エネルギーが3分の1を占める。携帯電話通信事業者が購入したエネルギー全体のうち、再生可能エネルギーの割合は2021年の14%から2022年には約3分の1にまで増加した。
また、GSMAは2023年6月、携帯電話のサーキュラーエコノミー実現に向けた目標を設定し、10社が署名した。設定した目標は、「2030年までに事業者が回収する携帯電話端末数を新品の携帯電話販売数の20%以上」「2030年までに事業者が回収した携帯電話端末すべてを修理・再利用もしくは一定の水準を満たしたリサイクル団体に譲渡」の2つであり、2024年1月には署名した企業が15社に増加、10億台の携帯電話をターゲットにアクションしている。日本企業ではソフトバンクとKDDIが署名している。
【参考】【国際】GSMAと12社、2030年の携帯電話サーキュラーエコノミー目標発表。日本も1社(2023年7月18日)
GSMAが掲げる2050年までのネットゼロ目標を達成するためには、政策と政府からの投資、事業者とサプライヤーが協力して行動することが必要不可欠と強調。エネルギー効率、再生可能エネルギー、サーキュラーエコノミーに機会が存在するとし、特に、政府に対して強力な気候変動政策、再生可能エネルギーとインフラへの投資を促進することを求めた。
【参照ページ】Mobile Net Zero 2024
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