
英リシ・スナク首相は4月19日、スピーチを行い、社会福祉改革への意欲を見せた。若者を中心に社会保護を受ける人が増えており、このままでは社会保険予算が持続可能でない水準となると危機感を顕にした。
スナク首相は今回、2010年に始まった社会福祉改革により、生活賃金の概念を導入し、最低賃金を引き上げてきたことを強調。さらにインフレ率を抑制し、生活難を防ぐとともに、生後9ヶ月以上の全ての家庭に30時間の無料保育を提供したり、国民保険料を3分の1に引き上げることを等を打ち出し、働くことへのインセンティブをつける改革を進めてきたたと伝えた。
一方、新型コロナウイルス・パンデミック以降、生活保護受給者数が85万人以上増加し、半数がメンタルヘルスが理由となっているという。特に若者世代での受給者が増えているとこに危機感を示した。スナク首相は、セーフティネットとしての社会福祉制度の重要性を指摘しつつも、「社会的セーフティネットの財源を税金でまかなう人々の間に深い不公平感を生み出すことになる」「ただ黙って受け入れるのは間違っている」と表現し、生活保護から勤労者へとシフトさせていくことが重要とした。
スナク首相は、現役世代への社会福祉予算は年間690億米ドルにものぼり、個人自立支援給付金の支出だけでも、今後4年間で50%以上増加すると予測されていると表明。これ以上、生活保護費をこれ以上増やす余裕はない、成長の原動力となりうる人材をこれほど多く失うわけにはいかないと言及した。また、働き手を確保するために移民数を減らす余裕もないとした。
今回掲げた5大改革では、まず、社会保障受給資格要件の厳格化。次に、医師が発行できる「フィット・ノート」と呼ばれる診断書の発行を専門医に限定する制度改正。3つ目は、週の労働時間がフルタイムの半分に満たない人に対し、給付金支給ではなく、副業就労支援を行う制度改革。4つ目は、障害対応やメンタルヘルス対応で支給している給付金の支給内容の見直し。5つ目は、給付金不正受給を取り締まるためのAI活用。
【参照ページ】Prime Minister’s speech on welfare: 19 April 2024
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