積水ハウスは7月9日、シンク・ネイチャーと協働し、住宅庭での樹木等提案ツール「生物多様性可視化提案ツール」を開発したと発表した。同様のツールは世界初。東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県で試験運用を実施。効果検証を行い、全国導入を目指す。
不動産分野でのネイチャーポジティブでは、不動産開発での周辺の生態系の保全・再生と、建材調達や使用電力等での生態系保全・再生の双方が重要となる。今回の施策は、不動産開発での周辺の生態系の保全・再生につなげるものと言える。
積水ハウスは2001年から、地域の気候風土にあった在来樹種を中心に植栽する「5本の樹」計画を実施してきている。今回、同計画の効果を琉球大学理学部久保田研究室と、シンク・ネイチャーと共同検証し、世界初となる都市の生物多様性を定量評価できる仕組み「ネイチャー・ポジティブ方法論」を構築した。その上で、建地ごとに生物多様性保全効果が高い植栽樹種の組み合わせをシミュレーションできるツールを開発した。
同ツールでは、建築地の住所と樹種数を入力すると、生物多様性保全効果の高い樹種の組み合わせが上位10組表示される。また、樹種の組み合わせで期待される鳥や蝶のデータも得られ、生物多様性保全効果が可視化できる。
「5本の樹」計画では、すでに2001年からの累積植栽本数が2,000万本を達成。今後は同ツールを活用し、植栽本数だけでなく、建築地の生態系にとって最適な樹種を提案するという「質」の向上も目指す。同ツールを用いることで、設計段階から効果を可視化して生物多様性保全を見据えた植栽提案が可能となり、当社の従前の提案と比較し約2.6倍の効果を見込めるという。今後の展開や目標等も今後検討していく。
シンク・ネイチャーとの共同検証では、1977年の樹木・鳥・蝶の種数、多様度指数、個体数を100%とし、「5本の樹」計画開始前の2000年を基準として、緑地の劣化が著しい関東・近畿・中京の三大都市圏の2070年までの変動をシミュレーションした。その結果、2030年には37.4%、2050年には40.9%、さらに2070年には41.9%まで生物多様性を再生できると予測されたという。
【参照ページ】積水ハウスとシンク・ネイチャー 生物多様性可視化提案ツールを共同開発、試験運用開始
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