国際的な携帯電話通信業界団体GSMアソシエーション(GSMA)は10月23日、世界のモバイルネットワークのコネクティビティに関する年次報告書の2024年版を発表した。世界人口の43%に当たる34億人がモバイルインターネットを利用できていないと伝えた。
【参考】【国際】GSMA、モバイルネットワークのコネクティビティ報告書2023年版発表。約43億人がスマホ所有(2023年10月22日)
同報告書は、携帯電話でのインターネット接続状況を分析したもの。世界の人口の57%に当たる46億人がモバイルインターネットを利用。2023年に新たに利用を開始したユーザー数は、2022年と同水準の1.6億人だが、2015年から2021年まで毎年2億人以上が利用を開始していた水準と比較すると伸びが鈍化している。
(出所)GSMA
携帯電話のインターネット接続ができない人口は34億人と依然として高い状況。インターネット接続ができない地域に住む人口を示すカバレッジギャップは3.5億人、利用できる環境が整っているにも関わらず利用できない利用ギャップは31億人だった。
世界で最もインターネット接続に関するギャップが大きいのは、サブサハラアフリカ。人口の27%しかモバイルインターネットを利用しておらず、カバレッジギャップは人口の13%、利用ギャップは40%だった。
同報告書では、最大の課題を利用格差だと指摘。2030年までにコネクティビティギャップを改善することで、世界のGDPを3.5兆米ドル(約536兆円)増加させ、そのうち90%は低・中所得国(LMICs)に恩恵をもたらすとした。
コネクティビティギャップは、農村部、貧困地域、人口密度の低い地域に存在。特に、開発途上国、内陸国、島嶼国であることが多い。モバイルインターネットのコネクティビティギャップを解消するための必要なインフラ構築には、4,180億米ドル(約64兆円)の投資が必要と推定した。
LMICsでインターネットが利用できない原因として、モバイル端末の価格の高さとデジタルスキル及びリテラシーを挙げた。モバイル端末のエントリーレベルの端末は平均月収の18%程度の価格だが、世界の最貧困層20%ではこれが51%にまで上昇。サブサハラ・アフリカの最貧困層20%では平均月収の99%にまで上昇する。男女格差もあり、インターネットが利用できない人の約3分の2はモバイル端末を持っていない。
アジアでは、デジタルスキルやリテラシーの課題が特に大きいとした。その他の問題として、関連性のあるローカライズされたコンテンツやサービスの不足、安全性やセキュリティへの懸念、電気等の重要なインフラやサービスへのアクセスが限定されていること等を挙げた。
世界の人口の53%がスマートフォンを所持しており、そのうち25%が5G、54%が4Gネットワークでインターネットにアクセスしている。残りの13%が3Gネットワーク、8%がフィーチャーフォンでアクセスしている。
3Gネットワークまたはフィーチャーフォンでアクセスする割合は、ラテンアメリカ、カリブ海地域、中東・北アフリカ地域では3分の1以上、サブサハラアフリカではほぼ3分の2であり、地域格差が大きい。
政府、携帯電話通信事業者、国際機関に対して、価格、デジタルスキル等の課題に対して連携して対応する必要性を強調。各地域へのデジタルエコシステムへの投資と、オンライの強固かつ安全なフレームワークの確保を実現する必要があるとした。
【参照ページ】New GSMA report shows mobile internet connectivity continues to grow globally but barriers for 3.45 billion unconnected people remain
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