
IT世界大手米メタ・プラットフォームズは4月5日、生成AIによって作成された動画、音声、画像に「Made with AI」ラベルを貼付する運用を5月から開始すると発表した。生成AIコンテンツへのラベル表示は3月にYouTubeも発表しており、それに続く形となった。
【参考】【国際】YouTube、クリエイターに生成AIコンテンツでのラベル明示義務化。違反続くと処罰も(2024年3月20日)
同社は2020年、生成AIによって作成され、実在者を模倣し偽情報を流す動画コンテンツを削除するポリシーを発表。2024年2月には写実的な画像に関しても「Imagined with AI」のラベル貼付方針を決定していた。Imagined with AIは、他社とも連携し、C2PA及びIPTC技術基準に基づき、生成AIによって作成された画像を特定する業界共通技術を開発し、検出された画像にのみ「Imagined with AI」ラベルを自動表示するとしていた。
今回の「Made with AI」のルール検討は、同社の監督委員会(Oversight Board)を中心に進められてきた。同委員会は、NGO、アカデミア、国際機関等の専門家との協議も重ね、同社の既存ポリシーが、実在者を模倣し偽情報を流す動画コンテンツのみを対象としていることを不十分とし、より広いコンテンツへのポリシー策定が必要と勧告。また、実在者を模倣し偽情報を流す動画コンテンツを削除する既存のポリシーは、表現の自由を過度に制限するリスクもあるとし、ラベル表示アプローチを勧告していた。
同監督委員会は、13カ国23,000人以上に世論調査も実施し、SNS企業が自社のプラットフォーム上で生成AIが作成したコンテンツにどのようにアプローチすべきか回答を集めたところ、82%がAIが生成したコンテンツに警告ラベルを付けることに賛成した。
「Made with AI」ラベルは、業界共通技術によって生成AI画像と検出された場合と、AI生成コンテンツをアップロードしていることを投稿者自身が公表する場合、重要な問題に関して公衆を著しく欺く危険性が特に高いと判断される場合に表示される。適用は、フェイスブック、インスタグラム、Threads。実在者を模倣し偽情報を流す動画コンテンツを削除するポリシーは7月に廃止する。
さらに、約100人配置されている独立ファクトチェッカーにより、AIが作成した偽情報や誤解を招くようなコンテンツの審査も継続。ファクトチェッカーがコンテンツを「False(虚偽)」または「Altered(改変)」と評価した場合、当該コンテンツはフィードの低い位置に表示され、追加情報を記載したオーバーレイラベルも表示する。すでに根拠がないと判定されたコンテンツが含まれている広告の掲載は禁止する。1月以降、広告主は、特定のケースにおいて、政治的または社会的問題の広告をデジタルで作成または変更した場合、開示する必要がある。
一方、メタ・プラットフォームズが運営するサービス上には、生成AIが写実的に作成したコンテンツを用いた広告が表示されていることも問題視されている。今回の新ルールが、生成AI作成広告にどのように対処するかは不明。
【参照ページ】Our Approach to Labeling AI-Generated Content and Manipulated Media
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