【国際】UNEZA加盟32社、再エネと送電網で年間16兆円の投資宣言。再エネ3倍に向け

　国際再生可能エネルギー機関（IRENA）が設立した再生可能エネルギーへの転換を促進するための新たなイニシアチブ「Utilities for Net Zero Alliance（UNEZA）」は9月24日、加盟企業が、世界全体で再生可能エネルギーと電力系統に対し、今後数年間で年間1,160億米ドル（約16兆円）を投資する共同コミットメントを発表した。

【参考】【国際】電力世界大手25社、再エネ転換推進イニシアチブUNEZA発足。日本からも1社（2023年12月6日）

　同イニシアチブは、国連気候変動枠組条約第28回ドバイ締約国会議（COP28）で初期加盟25企業で設立された。世界全体で協力し、再生可能エネルギー導入と必要なインフラ構築のためのアクションの加速が目的。現在は、電力関連世界大手32社を含む39のパートナーが再生可能エネルギーへの転換を促進するために加盟しており、約3.3億人の顧客を抱えている。具体的には、アブダビ国営エネルギー会社（TAQA）、Bui Power Authority、ドバイ電力水道庁（DEWA）、エティハド電力水道庁、マスダール、ACWAパワー、DLOエナジー、ドバイ・ケーブル・カンパニー、EDFリニューアブルズ、エジソン・インターナショナル、EDP、E.ON、エネル、エンジー、イベルドローラ、ジンコ・パワー、KEGOC、KenGen、ナショナル・グリッド、オクトパス・エナジー、オーステッド、RWE、シュナイダーエレクトリック、シーメンス、サクラメント市電力地区（SMUD）、スコティッシュ・アンド・サザン・エナジー（SSE）、テナガ・ナショナル、ユニパー、Xlinks等。日本からは日立製作所傘下の日立エナジーが加盟している。

　戦略パートナーは、世界経済フォーラム（WEF）、国際電気標準会議（IEC）、世界再生可能エネルギー同盟、Coordinador Eléctrico Nacional、IRENA、国連気候変動ハイレベル・チャンピオン。IRENAと国連気候変動ハイレベル・チャンピオンが事務局を務めている。

　今回の発表は、UNEZAが2024年4月に発表した2030年までの目標と行動計画を示したUNEZAロードマップに基づくもの。COP28で設定された2030年までに再生可能エネルギー設備容量を3倍にするという目標の達成に向け、目標として、2030年までにポートフォリオ内の再生可能エネルギー設備容量を2023年比で2.5倍の749GWに増加させることを設定している。加えて、6つの重点テーマと4つの行動の柱を設定。2025年までに特に重点的に取り組む行動の柱を「資本動員」「サプライチェーンのリスク低減」「政策と規制の策定支援」の3つとし、アクションが遅れている送電網の拡大、近代化に注力するとしていた。

【参考】【国際】IRENA、再エネ設備容量を2.5倍目標達成に向け2030年ロードマップ（2024年4月25日）

　今回の発表は、9月19日から25日まで開催された第79回国連総会で実施された。今後数年間の投資額年間1,160億米ドル（約16兆円）のうち48%は送電網を含む電力系統を対象とする。同時に、政府関係者に対し、クリーンな電力システム構築に必要不可欠な設備や資材の製造キャパシティを拡大するため、電力系統、風力発電、太陽光発電、水力発電、電力貯蔵の5つのサプライチェーンの制約緩和を求めた声明を発表した。

　声明では、関連装置の国際規格の標準化による市場拡大、電力統合に関する長期電力システムの計画、政策と規制によるビジネスモデルの革新、健全なサプライチェーンスキルの維持も求めた。

【参照ページ】Utilities Announce Joint Intent to Invest more than US$116bn Annually in Grids and Renewables

株式会社ニューラル　サステナビリティ研究所