スターバックスの消費者およびNPO活動家らは5月29日、ワシントン州シアトルで大手コーヒーチェーンのスターバックスに対してGMO(遺伝子組み換え作物)飼料により育てられた牛のミルクの使用停止を求めるデモを行った。
デモを主導したのは米国の消費者擁護団体Green America(グリーン・アメリカ)で、今回のデモは動物飼料として使用されるGMOに関する可視性と消費者意識の向上を目的とするGMO Insideキャンペーンの一環として、シアトル市内のチャイナタウンにあるスターバックス店舗で行われた。
シアトルはスターバックス本社が拠点を構える同社の象徴とも言える場所で、地元の消費者やシアトル在住の同社幹部らの注目を集めるのが狙いだ。
Green Americaのフード・キャンペーンディレクターを務めるNicole McCann氏は、「スターバックスは毎年大量の牛乳を購入するグローバル企業であり、乳製品のサプライチェーンの動向を左右する力を持っている。スターバックスの従来のオペレーションはGMOや工場式農場、殺虫剤などに基づく有害な食物システムを支えてしまっており、人間や動物、植物、環境に悪影響を与えている。しかし、我々は、スターバックスにはまだ改善の余地があり、消費者もそれを望んでいることを知っている」と語る。
今回のキャンペーンは、遺伝子組み換え飼料で育った牛から作られる乳製品をはじめ、畜産品に含まれるGMOに対する消費者意識の向上を目的としており、Green America、Food Democracy Now!、Organic Consumers Associationらの協力のもと、スターバックスのCEOを務めるHoward Schultz氏に対する署名は既に8万名以上も集まったとのことだ。
ここ数年、米国では反GMOキャンペーンが加熱している。例えばスナック菓子によく使用される高果糖コーンシロップなど、遺伝子組み換え食品に対する消費者の意識はますます敏感になってきている。その一方で、米国では畜産業がGMO動物飼料の最大の購入者の一つとなっていることはほとんど知られていないのが現状だ。
乳製品はそれ自体がGMOによって作られているわけではないものの、家畜が摂取するGMO飼料の影響を少なからず受けることになる。
CAFOs(Concentrated Animal Feeding Operations:集中家畜飼養)で育てられる牛に与えられるトウモロコシ、大豆などの穀物飼料のほとんどはGMOであり、これらの作物は土地と水質を劣化させ、人間や家畜に健康被害をもたらす可能性がある。
食の安全性に対する意識の高まりを受けて、サプライチェーンに多大な影響力を持っている大手小売りチェーンや食品メーカーに対する消費者やNPOからの圧力は日増しに高まってきている。
ただ、これらのステークホルダーからの圧力は社会課題に対して強い変革力を持つ企業に対する期待の裏返しとも言える。ステークホルダーの要求に真摯に対応し、自社製品やサプライヤーの透明性を高め、積極的に問題解決に取り組んでいくことができれば、企業にとっては新たな信頼獲得の機会ともなる。スターバックスの今後の対応にも注目していきたい。
【参考サイト】GMO Inside
【NPOサイト】Green America
【企業サイト】Starbucks
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら