米コカ・コーラ社は6月23日、USAID(United States Agency for International Development:米国国際開発庁)、世界エイズ・結核・マラリア対策基金、そしてBill & Melinda Gates Foundation(ビル&メリンダ財団)と共に、医療インフラが整っていない地域に住む人々に対して、自社の物流やサプライチェーンを活用して医薬品や医療用品を届ける「ラストマイル・プロジェクト」の適用範囲を、今後5年間でアフリカ10ヶ国まで広げると発表した。
「ラストマイル・プロジェクト」は官民協働によるPPP(Public Private Partnership:官民パートナーシップ)として現在タンザニアとガーナで展開されており、コカ・コーラ社が自社の物流・サプライチェーン・流通・マーケティングノウハウを活かしてアフリカ政府と協働することで、アフリカの僻地に暮らしており、もっとも医療サービスを必要としている人々「ラストマイル」まで、命を救う医薬品・医療用品を届ける取り組みを行っている。
今回の発表によればUSAIDからの強力な支援に加え、協力パートナーからの2,100万ドル以上の投資が予定されているとのことだ。「ラストマイル・プロジェクト」は次の実施予定地域としてモザンビークを挙げており、他の7カ国でも交渉が進められている。
米コカ・コーラ社CEOを務める Muhtar Kent氏は「アフリカは85年以上の長期に渡り、我々のビジネスにおいて重要な部分を担ってきた。我々はアフリカの人々がより健康で活動的な暮らしができるように支援することをコミットしている。ラストマイル・プロジェクトは現在のところ大きな成功を収めており、今後もパートナーと共により多くのコミュニティ、国々に支援を広げていきたい」と語った。
また、タンザニアの医薬品供給庁長官を務めるCosmas Mwaifwani氏は「ラストマイル・プロジェクトによって我々はよりプロフェッショナルな事業を実行できるようになり、医薬品に関わる計画、流通そしてマネジメントの改善につながった。このプロジェクトのおかげで、タンザニア全域において、重要な医薬品を安定的に供給することが可能になった」と述べた。
なお、「ラストマイル・プロジェクト」を持続可能なプロジェクトにするために、Yale’s Global Health Leadership Institute(イェール・グローバル・ヘルス・リーダーシップ研究所、ADP(Accenture Development Partnerships:アクセンチュア開発パートナーシップ)、GETF(Global Environment & Technology Foundation:地球環境技術財団)もそれぞれ独自の専門ノウハウを提供している。
コカ・コーラ社はボトラーやサプライヤーも含め、アフリカでは最大規模の従業員を抱える企業だ。多くの従業員の生活を支える企業として事業慣行や労働慣行に対する社会的責任を果たす必要性はもちろん高いが、それと同時にアフリカは同社にとって今後最大の成長が見込まれるマーケットでもあり、年々同地域の売上比率も上がってきている。
将来の成長性を見越して早くからアフリカ地域に暮らす人々の生活向上を支援し、結果としてコカ・コーラのブランドを揺るぎないものにするという同社の取り組みは優れたコミュニティ投資の事例の一つだ。また、自社の物流ノウハウやサプライチェーンを活用して医薬品を届けるという、自社の強みを活用したプロジェクトを展開している点も参考になる。
この「ラストマイル・プロジェクト」を支援している世界エイズ・結核・マラリア対策基金では同社の取り組みをビデオで紹介しているので、興味がある方はぜひ見て頂きたい。
【インフォグラフィック】Project Last Mile
【企業サイト】The Coca-Cola Company
【参考サイト】USAID/The Global Fund/Bill & Melinda Gates Foundation
(写真提供:meunierd / Shutterstock.com)
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