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【中国】政府、紀元前7世紀から続いてきた塩専売制廃止、市場経済へ移行

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 国務院は4月22日、紀元前7世紀から歴代王朝とともに存続してきた塩専売制を廃止し、塩産業を市場化する決定を発表した。塩小売価格を従来の固定価格制度から市場価格制度に移行すると同時に、食塩需給の安定化のための食塩備蓄制度を整備する。これにより、小売企業は、コスト構造、食塩の品質、市場の需給状況などに合わせて小売が自主的に価格を決定できるようになる。新制度は2017年1月1日から開始される。

 中国では生活必需品産業に対しては「定点生産制度」を採用してきた。定点生産制度とは、製品の生産を政府が指定する特定の企業だけに許可し、卸売から小売まで含めて流通を政府の管理下に置く制度。これまで食塩だけでなく医薬品などに関しても定点生産制度が採用されている。中国では、何千年に渡り塩を巡る社会政争が絶えず、歴代王朝は塩の専売制を採用してきた。その後塩専売制は、中華人民共和国建国後の社会主義経済制度に組み込まれ、市場経済開放後も塩の定点生産制度は続いてきた。

 今回、塩産業の市場化決定により、流通が大きく変わる。まず、定点生産制度で生産を許可されてきた企業は今後、卸売や小売の分野にも進出できるようになる。また、他分野の企業が塩生産に進出できるようになる。定点生産制度の中で、各地域ごとに限定されてきた塩卸売に関しては、新規の塩卸参入は引き続き許可されないが、既存の塩卸売企業は他の地域に進出できるようになる。省レベルの免許を持つ卸売企業は他の省区へ、それ以下のレベルの免許を持つ卸売企業は省内の他地域での事業展開が許された。これにより、国有塩卸売企業の連携や競争を促す考えだ。

 一方、食塩の品質管理に関する行政監視機能は強化する。国政レベルでは工業情報化部が中央監督官庁となり、地方政府にも監督官庁が置かれ、食塩の品質管理を担当する。同時にこれまで定点生産制度下で卸売企業に一部与えられていた生産企業への監督機能は政府に移管される。将来的には全国区での食塩サプライチェーン・トレーサビリティ電子システムも導入する。食塩の安全性を担保するため、工業塩企業に対しては、流通の記録管理を徹底させ、工業塩が食塩市場に混入することを防ぐ。

 また、食塩小売市場価格の安定化のために、行政府は価格監視も実施する。食塩備蓄制度では、災害時等突発的な事態に対応するため、省市区単位で食塩消費量の1ヶ月分以上の備蓄が義務化された。また短期的な市場価格変動への対応として、生産企業や卸売企業に対して、最少在庫と最多在庫の基準を定めるとともに、企業の買い占めや売り惜しみによる価格釣り上げを防止する。

 塩の専売制と言うととても古い手法のように思えるが、日本でも塩の専売制が完全に廃止されたのは2002年。人間社会にとって塩は今でも非常に重要な食品のひとつだ。

【参照ページ】国务院关于印发盐业体制改革方案的通知

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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