南極の海洋生物資源の保存に関する委員会(CCAMLR)は10月28日、南極のロス海を海洋保護区(MPA)とすることを決定したと発表した。CCAMLRは、1982年に発効した「南極の海洋生物資源の保存に関する条約」に基づき設置された国際委員会。同条約では、特にオキアミとメロの保護を定めており、日本の他、米国、EU、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、チリ、アルゼンチン、南アフリカなど25ヶ国・地域が条約に加盟している。
【参考】英国政府、大規模な海外領土海域を海洋保護区に指定。100万km²で商業漁業を禁止
海洋保護区(MPA)とは、生態系や生物多様性の保全に対する世界的な意識の高まりを背景に、法律や慣習により海域や沿岸の生物多様性を周辺よりも高いレベルで保護する効果を有する区域。今回MPAに指定されるロス海の海域は155万km²で世界最大のMPAとなる。今回の決定は2017年12月に発効し、以後、特別保護、生息地保護、生態系監視、漁業管理のため、特定の行動が全面禁止または制限される。とりわけ、指定海域の72%では漁業活動が一切禁止され、それ以外の地域でも科学的研究目的の漁業のみが認められることとなり、漁業活動が大幅に制限される。同条約の下ではすでに南極海のサウス・オークニー諸島南部大陸棚(94,000km²)がMPAに指定されており、ロス海は同条約のもとでのMPA指定2件目となる。
今回の規定は、アメリカとニュージーランドが科学的な知見から海域保護が必要であるとして2011年共同提案し、その後同条約委員会のもとでさらなる科学的必要性の検証が続いていた。今月の委員会開催で加盟国の全会一致で採択されたが、細かいルールの交渉はこれからで、米国とニュージランドのイニシアチブのもと進められる。
【参照ページ】CCAMLR to create world’s largest Marine Protected Area
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