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【日本】経産省、新国際資源戦略を策定。米ロへのLNG調達シフト等。石炭は燃料として高く評価

経済産業省は3月30日、「新国際資源戦略」を策定した。同文書は、資源・燃料政策に関する経済産業省の考えをまとめたもの。資源・燃料政策に関する包括的な国際指針としては、2012年に策定した「資源確保戦略」以来8年ぶりとなる。

 今回の戦略は、資源エネルギー庁の資源燃料分科会の下に設置されている「石油・天然ガス小委員会・鉱業小委員会合同会合」で2回議論し、総合資源エネルギー調査会資源・燃料分科会で1回会合した後に、2月に同分科会から提言書として提示。パブリックコメントを3月12日から3月25日まで実施し、最終調整をして今回経済産業省が発表した。

 2019年10月に開催された小委員会合同会合では、昨今の資源・燃料事情の変化として「受給構造の変化」「地政学リスクの変化」「環境認識の変化」「テクノロジーの変化」「日本の立ち位置の変化」の5つを挙げた。議論を重ね、最終的にまとめられた提言書と新国家資源戦略文書では、地政学リスクの変化として「中東情勢の不安定化」、受給構造の変化として「中国やインド等のアジア各国が大きな割合」「米国のシェールオイル・ガス開発やロシア・北極圏でのガス開発」、日本の立ち位置の変化では「国際市場における日本の地位は相対的に低下」を大きく取り上げつつ、環境認識の変化とテクノロジーの変化はサブ的に扱っている。

 燃料分野では、不安定化する中東から、米国やロシアでのシェールガス確保と、アジアでのLNG市場形成や需要の取り込みに重点を置いた。但し、昨今の情勢下では、中東が原油相場の引き下げを画策し、米国やロシアのシェールガス開発を暗礁に乗り上げる作戦に出ていることや、二酸化炭素排出量の多いシェールガスについては、欧米の機関投資家からも撤退やダイベストメント(投融資引揚げ)の動きが出ており、茨の道となる。その他、アジア諸国での石油備蓄促進による日本への供給の確保や、アジア諸国・日本・産油国産油国での共同備蓄の推進も挙げた。

 懸案の石炭については、「温室効果ガスの排出量が大きいという問題があるが、地政学的リスクが化石燃料の中で最も低く、熱量当たりの単価も化石燃料の中で最も安いことから、現状において安定供給や経済性に優れた重要なベースロード電源の燃料として評価されている」と堅持する姿勢を示した。

 レアメタルでは、コバルト・サプライチェーンでの中国依存や、銅調達元のチリでの政情不安を挙げ、鉱種ごとの戦略的な資源確保や供給多角化、備蓄目標日数の引き上げ等を挙げた。

 気候変動については、最後に触れ、いつもと同じようにCCUSと水素エネルギーの重視を掲げた。

 経済産業省は、2月にエネルギー供給強靱化3法案を閣議決定させており、その中ですでに新国際資源戦略の内容が反映されたものとなっている。盛り込まれた内容としては、有事に民間企業による発電用燃料の調達が困難な場合、電気事業法に基づく経済産業大臣の要請の下、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法(JOGMEC)が発電燃料を調達。他には、LNGの調達先の多様化や金属鉱物の安定的な供給を確保するため、JOGMECに天然ガスの積替・貯蔵基地や金属鉱物の採掘・製錬事業に対する出資等業務の追加がある。

 今回の新国際資源戦略は、これから始まる第6次エネルギー基本計画議論の中で、経済産業省としての布石を打つ狙いもあるとみられる。

【参考】【日本】政府、エネルギー供給強靱化3法案を閣議決定。FIP移行、送配電網強化、分散型等(2020年2月27日)

【参照ページ】新国際資源戦略を策定しました

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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