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【国際】持続可能な発展に向けて国際金融システムに求められるイノベーションとは? 2015/02/14 最新ニュース

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UNEP(国連環境計画)は1月21日、スイスのダボスで開催された世界経済フォーラムの中で持続可能な国際金融システムの実現に関する報告書を公表した。

同報告書では、現在300兆USドル超の資産を持つ国際金融システムにおいて、持続可能な発展に向けた投資ギャップを埋めるためにはどのようなイノベーションが必要となるかについて取り上げてられている。

2008年の金融危機以降、国際金融システムはどうすれば本来の目的である長期的な世界経済の安定を実現できるのかという点が常に議論されてきた。今回UNEPが公表した報告書”Pathways to Scale”は、UNEP Inquiry into the Design of a Sustainable Financial System(持続可能な金融システムのデザインに向けたUNEP研究報告書)の第3次進捗報告書で、合計12ヶ国からの銀行、保険、投資、証券といった国際金融システムを担う主要セクターの専門家らによってまとめられたものだ。

UNEPは現状の主な課題として、金融市場が依然として環境資源の価値を効果的に算定できておらず、結果として世界140ヶ国中116ヶ国においてきれいな大気、肥沃な土壌、豊富な水といった自然資本の価値が低減し続けている点を指摘している。

同報告書では、持続可能な発展のへの貢献が期待される金融システムの潜在的なイノベーション事例として、下記の点を挙げている。

  • 銀行:銀行は世界で最も多くの金融資産(139兆USドル)を保有しており、バングラデシュやブラジル、中国のような開発途上国らによるグリーン・クレジット規制に関する先進的な取り組みが、銀行業の新たな国際標準に向けた方向性を指し示している。
  • 債券市場:100兆USドルを抱える最大の資本市場であり、2014年にはグリーン・ボンドの発行額が3倍になる、気候変動リスクのようなサステナビリティ要因をクレジット評価業務に統合する取り組みの進展など、非常に早く変化している。
  • 機関投資:年金、保険、政府系ファンドなどの機関投資家が管理する93兆USドルの資産を基に、新たな投資スキーム、投資家ガバナンスの変革、運用報酬などインセンティブの再設計が、次世代のサステナビリティ投資の土台となりうる。

また、UNEPは上記の点に加えて、下記2つの政策的アプローチに対する関心の高まりも指摘している。

  • ”Green quantitative easing”(グリーン量的緩和)など、中央銀行による金融政策判断も経済の安定とサステナビリティの双方に貢献しうる。
  • “Environmental stress tests”(環境ストレステスト)も、金融機関と規制当局の双方が自然災害や感性的な大気汚染、水不足や気候変動のような環境破壊の脅威による経済への影響を理解する上で役立つ。

国連の副書記官でUNEPの最高責任者を務めるAchim Steiner氏は「もし我々が真に人々に行き渡る形で富を生み出そうとするならば、我々が生きる上でなくてはならない人間、製品、自然といった資本の全てに対して適切な投資ができる金融システムが必要になる。喜ばしいことは、中央銀行や財政当局、主要な投資ファンドらの間で、新しい「競争のルール」はただ必要不可欠でかつ実現可能なものであるというだけでなく、それが真なる利益をもたらしうるという認識が浸透してきていることだ」と述べる。

また、米国を代表する年金ファンド、カルパースのCEOであり、同UNEP調査研究のInternational Advisory CouncilメンバーでもあるAnne Staussboll氏は「長期投資には持続可能な価値を創りだし、あらゆるリスクを軽減し、ローカル、グローバル双方の経済を強化できるような戦略が求められる」と語る。

また、同じくInternational Advisory Councilメンバーであり、HSBCインドのトップを務めるNania Lai Kidwai氏は「インドでは長きに渡ってサステナビリティと金融は相反するものとして根付いてしまっている。ESGへの取り組みはコストを上げ、利益を減らし、発展を妨げるという考えだ。しかし実際の行動は逆の結果を示している」と語る。

昨今では世界全体のサステナビリティ実現に向け、事業会社だけではなく金融・投資セクターに対する期待も大きく高まりつつある。UNEPの報告書では金融システムが果たすべき役割と可能性について、債券市場におけるグリーン・ボンドや中央銀行による金融政策など大きなポテンシャルを秘めている具体的な方策を含めた分析をしており非常に興味深い。詳しく知りたい方はぜひ下記からレポートを読んで頂きたい。

【レポートダウンロード】Pathways to Scale
【団体サイト】UNEP

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