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【ロシア】ダウが手掛けたもう一つのソチ冬季オリンピック2014

今回のテーマは、今年の2月~3月にかけてロシアのソチで行われた"SOCHI 2014"(冬季オリンピック(2月7日~23日)・冬季パラリンピック(3月7日~16日))のサステナビリティ。世界中に多くの感動を与えてくれたソチ五輪の舞台裏で大活躍していたのは、Dow Chemical Company(ダウ・ケミカル、以下「ダウ」)だ。

ダウは言わずと知れた世界最大のグローバル総合化学品メーカーで、約180ヶ国で53,000人以上の従業員が活躍している。ダウはオリンピックのオフィシャルパートナーである”Worldwide Olympic Partner”、および"Official Carbon Partner of Sochi 2014"として、今回のソチ五輪のサステナビリティプログラムに多大なる貢献を果たした。

ソチ五輪では今年も出場選手から多くの感動と勇気をもらったという方が多いと思うが、オリンピックは世界最大のスポーツの祭典として大会の運営を通じたサステナビリティの向上にも積極的に取り組んでいる。2012年に開催された夏季ロンドン五輪からは大会のプラン段階から本格的に「サステナビリティ」がテーマとして取り入れられるようになり、今年のソチ五輪でも大会の裏で多くの取り組みが実践された。

こうした背景の中、ダウは今回、”Sustainable Future”プログラムの実施によって、ソチ五輪の大会運営から直接発生すると想定される360,000MT(メトリックトン)相当のカーボンフットプリントを大きく上回る560,000MT相当のCO2排出量を、なんと大会のオープニングよりも前の段階で削減することに成功したのだ。

オープニングセレモニーよりも前に、大会運営により直接生じると想定されるカーボンフットプリント全体を上回るカーボンフットプリント削減に成功したのは、オリンピックの歴史上初めてのことだ。

ちなみに、「直接生じると想定されるカーボンフットプリント」の中には、選手やスタッフ、ボランティアなどの宿泊施設や渡航から生じるカーボンフットプリントなども含まれており、ロシアが2014年ソチ五輪のホスト国となる権利を獲得し、五輪委員会を組織した2007年から、パラリンピックの競技が終わる2014年3月17日までに発生すると想定されるカーボンフットプリント全体を指している。

また、ダウはこの”Sustainable Future”プログラムによるカーボンフットプリント削減をサポートするために、国際的な専門家とパートナーシップを組んで革新的な温室効果ガスの会計フレームワークを開発しており。このフレームワークは2013年11月にポーランドのワルシャワで開催され国際気候変動会議「COP19/CMP9」で発表された。

ダウは、2013年の3月からロシアの顧客や企業とカーボンフットプリント削減に取り組み、ロシアの"Infrastructure(インフラ)"、"Agriculture(農業)"、"Industry(産業)"の各領域においてエネルギー効率が高い低炭素技術を用いることで莫大な量のカーボンフットプリント削減を達成した。

このダウの取り組みはソチ五輪だけではなく、その後のロシア経済やロシアの人々にとっても大きな財産となる。ここでは、動画の内容にも沿いながら、それぞれの領域の取り組みを簡単にご紹介する。

Infrastructure

ダウはロシアのProfflexと共に、光熱費とCO2排出量の削減につながる断熱素材(動画では窓枠に吹き付けている断熱用の泡製品が紹介されている)のプロモーションと消費者の節約意識向上を目的として大規模なキャンペーンを展開した。加えて製品の製造工程におけるカーボンフットプリント削減にも取り組み、数十万トン相当のCO2削減につながった。

また、ダウは鉄やコンクリートなどの伝統的な建築素材を代替する炭素繊維でできた合成素材(動画ではローラーやはけで塗装している様子が紹介されている)を提供することで、ビル橋などの都市インフラを建設する際のカーボンフットプリントを大きく削減することにも成功した。この素材は軽量で建物の耐久性向上にもつながるという。

Agriculture

Dow Agro Sciencesが展開しているブランド"Dow Seeds"では、ロシアの農家に対して持続可能な農業の実践をサポートした。土壌の浸食を抑えつつ、温室効果ガスの発生を最小化できるように耕地面積の削減に取り組んだり、従来型農業で使用されている重機や化学肥料、水などの利用を抑えることで燃料費やCO2を削減するなど、より経済的で持続可能な農業への取り組みを進めた。

Industry

石油精製所や天然ガスプラントでは蒸気の生成のために大量のエネルギーを消費するが、ダウが提供する"Dow’s Amine Management Program"ではより少ない蒸気で同量のガスを生成するソリューションを提供している。このプログラムにより多大なエネルギー消費とコスト、そしてCO2排出量が削減されている。

こうしたダウの取り組みの素晴らしい点は、オリンピックという大会の一過性にとどまらない実践を実現しているという点だ。五輪の開催前からロシアにおいて農業・産業・インフラのサステナビリティ向上に取り組み、結果としてロシアに蓄積された”Legacy(財産)”は、五輪の終了後もロシアで生き続けることになる。ソチ五輪はあくまできっかけに過ぎず、大会が終わればそれで終わりという活動ではないのだ。

2012年6月には持続可能なイベントマネジメントシステムの国際規格となるISO20121が発行されるなど、MICE(Meeting・Incentive・Convention・Exhibition)やスポーツ、音楽などイベント業界でも「サステナビリティ」は徐々に浸透してきている。しかし、イベントにおけるサステナビリティというとどうしてもその場限りの取り組みで終わってしまい、結果として継続的なインパクトを生み出すことができないケースも多いものだが、ダウの取り組みにはそれ自体にサステナビリティがある。

動画の最後でも述べられているように、上記のようなダウの革新的なパートナーシップとリーダーシップを通じて、ダウとオリンピックは本当に意味で「持続可能な」大会を実現させた。"SOCHI 2014"が残したこれらの財産は、ロシアの将来はもちろん、地球全体や次世代にとっても大きな一歩となる。

【企業サイト】Dow Chemical Company
【プレスリリース】Sochi 2014’s Direct Carbon Footprint Mitigated before Opening Ceremony
【Sochi2014 Olympic partnership】Dow at the Sochi 2014 Olympic Winter Games

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