アメリカの非営利団体The Sustainability Accounting Standards Board(SASB)は、金融業界向けの暫定的サステナビリティ報告基準を発表した。SASBは民間企業ながら、米国国家規格協会の認定を受けている半公共的な存在。業界ごとにサステナビリティ報告基準を制定し、米国証券取引委員会(SEC)が上場企業に対して重要事項の開示義務を定めたS-K規制に沿うルールを作っている。すでに、アメリカでは、同じく非営利団体であるFinancial Accounting Standards Board(FASB)が米国の企業会計の基準をとりまとめる機関としてSECに正式に認められており、SASBには非財務情報の開示に関してそれと同じ役割を期待されている。
今回SASBが定めた金融企業向けの暫定的サステナビリティ報告基準では、財務報告書の中で開示すべき社会、環境、ガバナンス(ESG)の重要事項を定めている。同基準では、金融業界をさらに細かく、アセットマネジメント及びカストディ、商業銀行、消費者金融、保険、投資銀行&ブローカー、住宅ローン、証券・商品取引の7つに分け、信用リスク分析、投資管理、責任ある融資、債権の不良化防止などのおけるESG側面での情報開示ルールなどを明確にした。SASBは、最低限守るべき基準を定めており、今回暫定制定された、金融業界の各カテゴリー向けサステナビリティ課題は平均4つで、79%は定量指標だ。
サステナビリティ報告基準の制定プロセスは、業界ワーキンググループ、パブリックコメント募集、第三者規格協議会審査など厳密な手続きを踏んでおり、信頼性は厚い。SASBは、既にSECともコミュニケーションを行い、SASB理事会メンバーには元SEC委員も参加。2016年までに約80の業界のサステナビリティ報告基準を定める計画。サステナビリティ情報の開示ルールを定めるという点ではGRIなどと目的は同じだが、SASBは、政府の証券取引委員会が法規制している財務報告書での開示ルールに焦点を当てている。これまで、サステナビリティ情報開示について目立った動きの少なかったアメリカで、SASBの動きは無視できない存在となってきた。
【団体サイト】The Sustainability Accounting Standards Board(SASB)
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