全米で20万事業者以上が加盟している米American Sustainable Business Council(ASBC)は、アメリカ環境保護庁(EPA)の提唱している水の安全性を高める新たな規制を支持すると発表した。新たな規制では、クリーン・ウォーター連邦法のもとでアメリカ環境保護庁が規制権限を持つことを定めている。
このニュースの革新性は、日本人は理解しづらいかもしれない。アメリカ国内で環境規制の中で起こっていた問題は、連邦政府と州政府の対立だ。連邦政府が環境規制を強化のため法整備を行うことに対し、州政府は「連邦政府が州内の環境規制を行うことは連邦政府の越権行為であり違憲」と反発していた。この対立構造に対し、連邦最高裁判所は、「連邦政府が州内の環境規制に対して監督権限を持つことは合憲」という判決を今年の4月に出した。
ASBCは会員制の協議会で企業会員が大多数を占めている。一般的に、日本ではアメリカの企業は環境対策に熱心でないと思われている空気がある。そんな中、ASBCは、環境規制推進派の連邦政府と、環境規制抑制派の州政府との対立構造の中、アメリカ環境保護庁すなわち連邦政府側の環境規制を支持する表明をした。もちろん、州政府側を支援している企業も全米にはある。今回のニュースは、米企業の中にも環境規制に対して肯定的な企業が多くあるということを印象づける内容なのだ。
ASBCの共同創業者や政策ディレクターであるRichard Eidlinは、「以前からアメリカでビジネスを成功させるためには、クリーンな水の利用可能性は欠かせない存在となってきた。食品生産業者やビール会社などあらゆる企業で、高品質で安全な製品を生産するためにはクリーンな水が不可欠である。汚染された水は不必要なだけでなく、地域社会や企業のためにならず、時折経営に対して非常に深刻な影響をもたらす。だからこそASBCは今回の新しい規制を支持している。環境保護庁の新規制は環境とビジネスの両面において良い効果をもたらす。」とコメント。昨今、アメリカでは企業側から環境規制を推進するという新たな潮流が起こっている。
【団体サイト】American Sustainable Business Council(ASBC)
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