The London Stock Exchange Group(ロンドン証券取引所、以下LSEグループ)は6月2日、国連のSustainable Stock Exchanges Initiative(持続可能な証券取引所イニシアティブ、以下SSE)に参加することを発表した。
SSEは世界中の上場企業のサステナブルな事業慣行を促進することを目的として2009年に設立されたイニシアティブで、現在NYSE Euronext(NYSEユーロネクスト)、NASDAQ OMXをはじめ、トルコのイスタンブール証券取引所、ブラジルのボベスパ証券取引所、インドのボンベイ証券取引所、エジプト証券取引所、ヨハネスブルグ証券取引所、ナイジェリア証券取引所、ワルシャワ証券取引所の合計9つの証券取引所が参画している。
同イニシアティブはUNCTAD(国連貿易開発会議)、UNGC(国連グローバルコンパクト)、UNEP FI(国連環境計画・金融イニシアティブ)、PRI(責任投資原則)による共同組織だ。
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LSEグループはパン・ギムン国連事務総長に宛てた文書の中で、今回のSSEへの参画をきっかけに、より長期視点に立ったサステナブル投資を促進し、ロンドン証券取引所で取引される企業のESG情報開示への取り組みやESGパフォーマンスの向上に向けて投資家や企業らと共に取り組んでいく意思を示した。
LSEグループで情報サービス部門のグループディレクターを務めるMark Makepeace氏は「ロンドン証券取引所の企業責任へのアプローチは、市場、サービス、人々、コミュニティという我々の事業に密接に関わる4つの柱に基づいている。グローバル金融市場の中心地という我々の役割を考えれば、ロンドン証券取引所は企業のサステナビリティを促進するうえで恵まれたポジションにいると言える。今回の参画は、グローバルの安定的かつ長期的な経済成長に寄与するものであり、我々はSSEに参画できたことを嬉しく思うと同時に、サステナビリティ課題の解決に向けて国連および世界中の他の証券取引所と協力できることを楽しみにしている」と語った。
また、国連グローバルコンパクトのエグゼクティブ・ディレクターを務めるGeorg Kell氏は、「投資家の多くが、企業が掲げるマテリアリティやESG要因をますます投資判断の重点ポイントに置くようになってきており、企業に行動を促すようになってきている」と述べ、今回のLSEグループのSSEの参画により更にESG開示が進むことに期待を寄せた。
そして、PRI(Principles for Responsible Investment)のマネージング・ディレクターを務めるFiona Reynolds氏は、「証券取引所は上場企業によるESG・コーポレートガバナンス報告の量と質の双方を高めるうえで非常に重要な役割を担っている。現状、世界の大手企業のうちESGパフォーマンスに関する情報開示をしている企業はわずか3%しかないが、ESGディスクロージャーが進めば進むほど、それぞれの証券取引所で報告される情報がより有用で比較しやすくなり、結果として機関投資家はよりしっかりと投資リスクを管理し、よい投資意思決定ができるようになる」と述べた。
今回の発表は、異なる証券取引所間における一貫性がありかつ比較可能なサステナビリティ報告に向けた取り組みを進めている投資家や証券取引所らの動きを受けてのものだ。CeresのINCR(Investor Network on Climate Risk:気候変動に関する投資家ネットワーク)のメンバーやPRIへ署名している投資家を含む機関投資家グループは、現在WFE(World Federation of Exchanges:国際取引所連合)がまとめている統一基準に向けた提案リストへの意見を募集している。
この計画と提案はWFEが新たに組成したサステナビリティ・ワーキンググループによってまとめられ、今年の後半に韓国で開催されるWFEの年次会合で発表される予定だ。
SSEの主導のもと、ESG投資の更なる発展に向けて世界中の証券取引所の方向性が徐々に定まりつつある。特に今回、世界を代表する証券取引所の一つであるロンドン証券取引所がSSEへの参画を発表したことで、グローバルなESG投資の流れがますます加速することになりそうだ。
【企業サイト】The London Stock Exchange Group
【参考サイト】Sustainable Stock Exchanges Initiative
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