国連グローバルコンパクトと国際貿易センター(以下、ITC)は3月9日、小規模農家の環境、社会に配慮した持続可能な農業慣行と競争力向上、グローバルな食糧安全保障の実現に向けて協力すると発表した。
同日ニューヨークで行われた会合の中で、ITCの事務局長を務めるArancha Gonzalez氏と国連グローバルコンパクトの事務局長を務めるGeorg Kell氏は、小規模農家や農業セクターの中小事業者に対して国連グローバルコンパクトの掲げるFood and Agriculture Business Principles(FAB原則)の普及に向けて、ITCが運営するStandards Map toolとTrade for Sustainable Development(T4SD)platformを活用することで合意した。
ITCのStandards Mapは、農業セクターに関わる150以上のサステナビリティ基準や行動規範に関する包括的で比較可能な情報を提供しており、生産者や輸出業者、政策立案者、バイヤーらに対してより持続可能な生産と取引慣行を促している。
FABは2014年9月に公表された食料と農業に関する原則で、企業が農業生産における環境フットプリントの削減、農家コミュニティにおけるディセント・ワークの創造を実現しつつ、増加する世界人口と食糧問題にどのように対処するべきかについて定めたものだ。具体的には環境への責任、農家、労働者、消費者の権利の尊重、土地と資源の権利の尊重、新しい技術への投資、小規模農家・中小企業のキャパシティ開発を原則としている。企業が国連や政府、市民社会や他のステークホルダーと協働するためのフレームワークとして、FABの原則は食料と農業のサステナビリティ向上を目指す既存のイニシアチブを補完している。
今回の発表にあたり、国連グローバルコンパクトのGeorg Kell氏は「ITCは小規模農家の国際競争力向上において重要な役割を担っている。ITCのStandards Map上でFAB原則を広めるためにITCと協働できることを嬉しく思う。持続可能な農業の促進により、中小の農業事業者が貧困の終焉、栄養向上や食料保障の実現に貢献できるようになる」と語った。
世界の農業・食糧のサステナビリティ向上には、地域社会で実際に農業を営む中小規模の農家や事業者による持続可能な農業・事業慣行が欠かせない。今回の提携により国連グローバルコンパクトのFAB原則の更なる普及が期待される。
【団体サイト】UN Global Compact
【団体サイト】International Trade Centre
【参考サイト】Food and Agriculture Business Principles
【参考サイト】Standards Map tool / Trade for Sustainable Development(T4SD)platform
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