アジア開発銀行(以下、ADB)は3月13日、同行初となるグリーンボンドの発行により5億米ドルを資金調達したと発表した。同資金は主にアジアの発展途上国地域における気候変動適応・低減プロジェクトに充てられる予定だ。
同グリーンボンドはAP2、日本生命保険、モルガン・スタンレーといった約44の投資家に売却され、中央銀行・公的機関(16%)、民間銀行(22%)、ファンドマネジャー・年金基金・保険会社(61%)などが主な買手となっている。また、グリーンボンドの31%がアジア、45%が欧州・アフリカ・中東、24%が米国の機関に売却された。
10年債の同グリーンボンドはバンクオブアメリカ・メリルリンチ、SEB、モルガン・スタンレー主導で管理され、水保全、エネルギー、輸送、都市インフラに関する気候変動適応プロジェクトや、再生可能エネルギー、エネルギー効率化、持続可能な輸送システムなどの気候変動低減プロジェクトに使用される。
ADBの財務長を務めるPierre Van Peteghem氏は、「アジアは気候変動に対して最も脆弱な地域であると同時に、エネルギー、水などの資源の利用量が高まっている地域でもある。ADBはアジアの繁栄と持続可能な未来を実現する気候変動適応と低減に向け、今後も必要な資金の調達に力を注いでいく」と語った。
Peteghem氏が指摘する通り、アジアは気候変動の影響を最も受ける地域の一つであると同時に、気候変動を引き起こしている地域でもある。特に、フィリピンのマニラのような急発展している都市や海岸部のエリアは気候変動により大きな被害を受ける可能性が高いとされており、アジア・太平洋地域では、2050年まで気候変動に適応するために年間420億ドルのコストがかかると見込まれている。一方で、アジアのエネルギー関連の温室効果ガス排出量の世界シェアは1990年の17%から2010年には37%まで増加しており、2035年には47%にまで増加すると予測されている。
ADBは1990年代からアジアの気候変動問題に取り組んでおり、2010年以降、22億米ドルに値する、水と再生可能エネルギー関連プロジェクトを支援するウォーターボ ンド、クリーンエネルギーボンドを発行しているほか、2014年には気候変動低減および適応プロジェクトに向けて30億米ドルの気候変動ファイナンスを承認している。
【リリース原文】Inaugural ADB Green Bond to Drive More Funds to Climate Change Projects
【団体サイト】Asia Development Bank
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