今、将来のビジネスリーダー育成を担う世界のビジネススクールでは、「サステナビリティ」が優秀な学生を惹きつける鍵となりつつある。英紙ガーディアンは先日、"Sustainability now key selling point for business schools attracting students"という記事の中でビジネススクールにおけるサステナビリティについての教育の現状を分析した記事を掲載している。
同記事内で紹介されている英国アシュリッジ・ビジネス・スクールでビジネス・サステナビリティ・ディレクターを務めるMatthew Gitsham氏によれば、以前はサステナビリティについての学習は無駄だと考える学生も多く、サステナビリティの授業をするのが心苦しかったが、ここ10年で学生の態度は劇的に変化してきており、今では同校がサステナビリティを強みとしていることを理由に入学する学生もいるという。
また、英国ウォーリック・ビジネス・スクールでグローバルエネルギーの助教授を務めるFrederik Dahlmann氏は、この変化を学術研究の視点から分析している。同氏によれば、以前はサステナビリティに関する研究を学術雑誌で発表することは難しかったが、最近では看過できない分野とされ、多くのビジネススクールが競争優位を確立するために積極的にサステナビリティ研究を推進するようになっているとのことだ。
どうしてサステナビリティに対するビジネススクールの姿勢はこんなにも一変したのだろうか。同記事によると、その大きなきっかけとして2008年の世界金融危機を挙げている。金融危機以降、EQUISやAMBA、AACSBといったビジネススクール認証機関の間では、ビジネススクールは企業が社会にもたらすインパクトについてよりしっかりと教えるべきという認識が広がり、サステナビリティを課程に組み入れるよう新たな基準が設けられた点が影響しているという。
そして、サステナビリティ専門人材紹介会社Acreの共同創業者、Andy Cartland氏によれば、同様の変化は卒業後の学生を受け入れる雇用主側のほうにも起こっているという。ビジネススクールを取り巻く全てのステークホルダーで、今、サステナビリティが共通のキーワードとなっているのだ。
一方、このような変化についてPwCの気候変動・サステナビリティ担当役員を務めるJonathan Grant氏は、厳しい意見も寄せている。同氏は、MBAの段階でサステナビリティを教えるのは遅すぎであり、小学校からサステナビリティ教育を取り入れるべきだと主張している。
次世代の企業リーダー輩出機関である世界のビジネススクールでサステナビリティに対する関心が高まっていることは非常に頼もしい傾向だ。サステナビリティとビジネスの関係について学んだ学生らがもう一度社会の最前線に戻ってきたとき、社会に対してどのような正のインパクトを生み出してくれるのか、今後の活躍が楽しみだ。
【原文記事】Sustainability now key selling point for business schools attracting students
【参考サイト】The Guardian
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