中国石油天然気集団(CNPC)は4月27日、2014年度の社会責任報告を発表した。CNPCは、2014年度において資産総額が39,384億元に達し、規模として世界の石油企業ランキングの中で第3位となり、フォーチュン500でも4位に位置する巨大企業。同社の周吉平・会長は、報告書の中で「CNPCは経済、環境、社会の三つの責任の上に立ち、グリーン企業へと転換し、さらに富の創造力、ブランド影響力、社会感化力において高次元の企業を目指している」と語った。
環境負荷の少ない天然ガス開発に注力
化石燃料が当面の主力エネルギー源となる中、CNPCは汚染物質の少ない天然ガスの開発を強化する。CNPCは中国の最大手の天然ガス供給企業として、今後中国大陸に広く天然ガスを供給していけるようパイプライン網をさらに整備していく。また、採掘が比較的容易な在来型天然ガスの採掘量が減少してくのに伴い、シェールガス、タイトガス、コールベッドメタン(炭層ガス)などの非在来型天然ガスの採掘を進めていく。すでにタイトガスの採掘はCNPCが生産する天然ガス量の28%に及んでいるが、さらに今回四川省長寧市に「タイトオイルR&Dセンター」を設立し体制を強化する。低ランク炭層のコールベッドメタンの探査・開発技術もブレイクスルーを迎え、2014年には5億立方メートル規模のプラントも順調に建設が進んでいる。
省エネと排出削減によって、生態環境保護を推進
CNPCは、中石油は、グリーン企業へと転換していく中でとりわけ省エネと環境保護に注力している。2014年には、大規模な生産プロセスの見直しを行い、重大な環境汚染や生態系破壊事故をゼロとし、エネルギー消費量を標準炭126万トン削減、水の削減量も2,462万立方メートルにのぼった。環境保護の分野では、中国の環境法の根幹をなす概念「三同時制度」(設計、施工、運用の全ての面において環境アセスメントや環境モニタリングを実施する制度)を全ての生産工程について導入した。
水資源管理がテーマとして独立
2014年の報告書からは、水資源管理が重要テーマとして項目が独立化した。水資源管理の分野では、水消費量削減と水汚染の防止、特に水循環サイクルの維持と淡水消費量削減を重点的に実施した。具体的な施策としては、採掘時に飛散する原油、油井洗浄時の油汚染水、採掘汚染水などを水と油に分離し、油は回収、水は地層に戻すプロセスを徹底することで、地下水や地表水の汚染防止を行った。結果、油汚染水の処理率は97.7%、地層への戻し率は93.8%にも達した。中には、汚染水処理率100%を達成したプラントもあった。
中国の膨大なエネルギー需要の伸びは今後も大きく続く見込みの中、サステナビリティに向けた中国エネルギー企業の自助努力は社会にとって欠かせない。再生可能エネルギーを推進する立場の方々から見ると、CNPCが石炭から天然ガスにシフトしようとしている姿は生ぬるいと映るかもしれないが、大気汚染物質の少ない天然ガスへの移行は、中国や周辺諸国の公害対策としては一歩前進といえる。エネルギー消費量や水の消費量の削減にも積極的に取り組む姿勢は、むしろ高評価と言えるだろう。
【企業サイト】CNPC
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