米グーグルは9月18日、難民支援を目的として同社が15日から開始していた募金キャンペーンの寄付総額が、わずか2日半で目標の1,000万ユーロ(約1,100万米ドル)に到達したと発表した。同キャンペーンは、人々が寄付した金額と同額をグーグルが寄付するというものだ。
グーグルは同募金キャンペーンの開始に先立ち、自ら100万ユーロを難民支援団体に寄付していた。そのうえで、9月15日に自社の公式ブログ上に自らも7歳のときに難民としてアフガニスタンからヨーロッパへと逃れた経験を持つ同社の従業員、Rita Masoud氏の声を掲載し、同氏の過去の悲痛な経験とともに募金キャンペーンへ参加を呼びかけていた。
現在はカルフォルニアのグーグルで働いているRita Masoud氏は、同社の公式ブログ上で自身の難民経験について「暗闇の中で数多くの列車やバスを乗り継ぎ、食に飢え、喉が渇き、寒さと恐怖を伴うものだった」と語っており、「私は幸運だったが、難民や移民問題が拡大するにつれ、私の家族のように多くの人々が助けを切望している」として、広く協力を呼びかけていた。CEOではなく一人の社員が経験をもとに寄付を呼びかけるという形は珍しい。
集められた寄付金は世界中で難民、移民支援を行っている国境なき医師団、国際救援委員会、セーブ・ザ・チルドレン、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の4団体に送られる。
セーブ・ザ・チルドレンのCEOを務めるCarolyn Miles氏はこのグーグルの取り組みについて「我々のスタッフメンバーは前線におり、難民の子供たちやその家族のニーズに応えるために24時間活動している。我々は長年に渡り、難民と共に中東の全域で活動してきた。シリア戦争は現在5年目に突入しており、危機は一触即発の状況に至っている。同伴者のいない孤児を含む多くの難民が他に選択肢を見出せず、避難している。グーグルのマッチングキャンペーンは米国人にこうした絶望的な子供たちを我々が助けるのを援助する機会を与えている」と語る。
現在ヨーロッパには内戦や貧困などを理由にシリアやイラク、アフガニスタンなど中東・アフリカ諸国からの多数の難民が押し寄せており、国際問題となっている。EUは9月22日、難民16万人の受け入れを加盟国28ヶ国で分担する方針を賛成多数で承認したほか、2日後の24日には、臨時首脳会議を開催し、UNHCRやWFP(世界食糧計画)らに少なくとも10億ユーロを追加で拠出することで合意している。
各国の政府が対応に迫られるなか、国家だけではなく各企業としても難民問題に対して何ができるかが問われている。グーグル以外の取り組みとしては、米物流大手のUPSがUPS財団を通じ、UNHCRやWFPと協働してギリシャの難民向けに救援物資の運送に取り組んでいるほか、スウェーデン家具大手のイケアはイケア財団を通じてUNHCRと協働し、難民向けの仮設シェルターを開発、提供している。
【参考サイト】Matching your donation to humanitarian relief for refugees and migrants
【参考サイト】Refugee Relief
(※写真提供:Attila JANDI / Shutterstock.com)
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