SASB(米国サステナビリティ会計基準審議会)は3月30日、新たにインフラ分野8業種の暫定サステナビリティ会計基準を公表した。SASBは、今年1月にも再生可能資源・代替エネルギー分野の暫定基準を公表していた。今回公表したインフラ分野をもって,SASBが計画していた10分野79業種全ての暫定サステナビリティ会計基準を発表したことになる。
今回新たに公表された業種は。
- Electric Utilities:電力事業
- Gas Utilities:ガス事業
- Home Builders:住宅建設業
- Real Estate Owners, Developers & Investment Trusts:不動産所有者、ディベロッパー及び投資信託業
- Real Estate Services:不動産サービス業
- Waste Management:廃棄物処理事業
- Water Utilities:水道事業
インフラ分野で定められた基準は、各業種平均5項目。73%の項目は定量的指標となっており、フォーム10-K(年次報告書)やフォーム20-F(有価証券報告書)の規定を遵守している。またSASBは、今回定めた基準採用するにあたって、企業の追加費用がかからぬよう,既存のサステナビリティ・イニシアティブに沿う方法を探索している。例えばSASBの不動産業の基準には、業界で広く使用されている査定基準であるGRESBを参照、定量的な測定項目の75%以上はGRESBの要求事項と合致しており、更なる情報収集は必要ない。
インフラ分野の基準を策定するワーキンググループには、437社が参加した。参加した上場企業の合計時価総額は5,240億米ドル(約56兆5,920億円)に相当し、機関投資家の運用資産額は2.3兆米ドル(約248兆4,000億円)に相当する。
SASBは、次の段階として、今後1年から1年半をかけて、これまで策定してきた暫定基準についての導入支援を進めるとともに、有効性や費用対効果を検証していく。まず4月7日に、「The SASB Conceptual Framework」「The SASB Rules of Procedure」「The Sustainable Industry Classification System™」という3つの文書を発表した。The SASB Conceptual FrameworkにはSASBの目的が定められており、The SASB Rules of Procedureには具体的な基準の運用・改訂ルールが記されている。The Sustainable Industry Classification System™では、基準の分野・業種分類方法を改めた。これらの3つの文書に関しては90日間のパブリックコメント期間が設けられている。SASBに関心がある方はぜひパブリックコメントを提出してみるといいだろう。
【参考】【レポーティング】SASB(米国サステナビリティ会計基準審議会)を徹底解説
【参照ページ】SASB Issues Provisional Sustainability Accounting Standards for Infrastructure Sector
【参照ページ】SASB Completes Provisional Standards for All Industries of the Economy; Launches Next Phase of Standards Development
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