米セブン-イレブンは5月10日、米国及びカナダの店舗で販売する全ての玉子を、2025年までに檻に閉じ込めた養鶏をしない「Cage-Free Eggs(ケージフリー卵)」にすると発表した。米国とカナダにあるセブン-イレブンは約17,000店舗。サンドイッチなど加工食品に入っている玉子もケージフリー卵にしていくという。
ケージフリー卵は最近、欧米やオーストラリアなどで普及してきている。今後数年から10年をかけてケージフリー卵に切り替えることを発表している企業には、米ウォルマート、米コストコ、米ディズニー、米マクドナルド、米バーガーキングなどがある。欧州ではすでにEU当局によって「ケージフリー卵」という名称が使える玉子の定義まで定められている。「ケージフリー卵」が推進されている背景は、玉子の品質ではなく、純粋な動物愛護の観点だ。米国では今でも95%の玉子は、典型的な檻に入って横一列に並んだ養鶏場(英語でバッテリー・ケージと呼ばれる)で育てられている。決められた餌を与えられ、羽を広げる広さもなく、基本的に自由はない。一方で、ケージフリーでは、狭い檻ではなく、動き回れる空間が与えられた柵の中で数羽で一緒に育てられる。水も餌も食べたいだけ食べられる。しかしながら、Investing.comによると、ケージフリーで育てられた鶏は死亡率が高く、また玉子をひとつ産むにあたる餌消費量も多いという。ブルームバーグの調査では、ケージフリー卵は通常の玉子の二倍の値段で販売されているという。
ケージフリー卵を始め、欧米では様々な概念の卵が登場している。古くから存在しているのは「オーガニック卵」で、オーガニック飼料のみを用い、抗生物質を用いず育てる手法。オーガニック卵では、バッテリー・ケージも用いられず、基本的に動きまわる空間が鶏に与えられる。比較的新しい概念は、今回の「ケージフリー卵」と「フリーレンジ(Free-range)卵」だ。EUの定義によると、ケージフリー卵は、バッテリー・ケージではなく数羽が一緒の柵に入って育てられるが、「フリーレンジ卵」にはさらに広範囲の自由が与えられる。屋外にも自由に出られ、鶏は通常の餌以外にも屋外の草や虫などを自由に食することができる。但し、「ケージフリー卵」と「フリーレンジ卵」には、オーガニック飼料や抗生物質に関する規定は今のところない。最近では、もっと広範囲の自由がある「完全放し飼い卵(Pastured eggsまたはOpen-range eggs)」という概念も登場しており、こちらの方式では、餌も全て屋外の草や虫などを食べて生活できるようになっている。
日本のように生玉子が食べられるような新鮮な玉子を提供している国は世界で極めて稀だ。欧米のスーパーマーケットでは生で食べられる玉子は基本的に販売されていない。ときどき低温殺菌された玉子(Pasturized Eggs)を見かけるが、それでも日本の玉子と比べ安全性は劣る。日本は新鮮さや高品質という価値を卵に見出してきたが、欧米ではなんと動物愛護の観点が重視されるようになってきた。
【参照ページ】7-Eleven announces plans to transition to cage-free eggs by 2025
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