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【日本】経済産業省、企業と投資家の長期経営を促す指針「価値協創ガイダンス」を発表

 経済産業省は5月29日、「持続的成長に向けた長期投資(ESG・無形資産投資)研究会」での議論を取りまとめ、企業価値向上に向けて企業経営者と投資家が対話を行い、経営戦略や非財務情報等の開示やそれらを評価する際の手引となるガイダンス(指針)「価値協創ガイダンス」を発表した。同省は、企業と投資家の双方にガイダンスを参照することよう促している。

 同省は、2016年8月から「持続的成長に向けた長期投資(ESG・無形資産投資)研究会」を開催。議長は「伊藤レポート」で有名な伊藤邦雄・一橋大学大学院教授。委員として、有馬利男・国連グローバル・コンパクト・ボードメンバー、小林いずみIIRC理事、水野弘道GPIF理事、安藤聡オムロン執行役員常務、井口譲二ニッセイアセットマネジメント株式運用部担当部長など、事業会社、機関投資家、ガイドライン策定機関、大学教授など17名が参加した。研究会は、企業が中長期的な企業価値を高めるための戦略的な投資のあり方、投資家が長期的な視野から企業を評価する方法、そして企業の情報開示や投資家との対話のあり方について検討を行ってきた。

 経済産業省が今回のガイダンスを策定した背景には、企業の競争力や収益力を高めるため、財務諸表に表れない「無形資産」への投資が重要性を増していることがある。実際に、グローバルな機関投資家の間では「ESG(環境・社会・ガバナンス)」等の要素を投資判断や企業のモニタリング等に組み込む動きが本格化している。ESGへの取組を単に「費用」とみなす風潮を是正し、企業と投資家の長期的な投資判断や建設的な対話を促すためが大きな目的として掲げられている。

 発表されたガイダンスは、基本的な枠組みとして、「価値観」「ビジネスモデル」「持続可能性・成長性」「戦略」「成果と重要な成果指標」「ガバナンス」の6項目について、企業経営者や投資家が把握しておくべき企業価値創造への視点がまとめられている。ガイダンスという名称が付いているが、個別の推奨状開示項目というより、読み物に近い。持続的な企業価値向上に関心を持つ投資家が、企業との情報・認識ギャップを埋めるためにガイダンスを活用して企業と対話し、自らの投資判断に必要な情報を把握することが期待されている。

 経済産業省は、今回発表のガイダンスを企業の情報開示や投資家との対話の質の向上に向けた「出発点」と位置づけ、今後さらにガイダンスの見直しを行っていく考え。

  同ガイダンスの発表にあたり、今年4月に東京で開催されたESG投資イベント「RI Asia 2017」の中で、海外からの参加者から「ガイダンスについてパブリックコメントの募集は行わないのか」という質問があった。これに対し、経済産業省の福本拓也・経済産業政策局産業資金課長は、ガイダンスは法令ではなくパブリックコメント募集は法的義務ではないと回答。募集は行わない意向を示していた。しかし、国際的な水準では、企業や投資家に対する自発的ガイドラインやガイダンスもパブリックコメントの募集を行うことが普通になってきている。経済産業省にも、ガイダンスの受け手を「ステークホルダー」と見立てた積極的なエンゲージメントを期待し、今後はぜひパブリックコメントの受付を行っていただきたい。

【参照ページ】「価値協創のための統合的開示・対話ガイダンス」を策定しました-ESG・非財務情報開示と無形資産投資の促進-
【ガイダンス】価値協創ガイダンス

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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