アパレル業界の国際サステナビリティ団体Sustainable Apparel Coalition(SAC)は11月29日、アパレル工場の環境自己評価ツール「Higg Facility Environmental Module(Higg FEM)」を改訂したと発表した。SACのホームページから企業登録することで利用できる。新ツールは、透明性の面で改善されており、水消費量、廃棄物、大気への排出、化学物質管理のベンチマーク基準を引き上げた。
SACはアパレル世界大手を中心に小売、アパレルサプライヤー、業界団体、NGO、大学等が加盟する団体。現在の加盟機関数は200社以上。2009年にパタゴニアとウォルマートが連携しサプライチェーンのサステナビリティ評価イニシアチブを発端とし、2011年に米サンフランシスコで設立された。加盟機関はアディダス、NIKE、リーバイ・ストラウス、バーバリー、ケリング、GAP、H&M、インディテックス、コカ・コーラ等。日本企業では、ファーストリテイリング、アシックス、東レ、帝人の4社とのNGOの経済人コー円卓会議が加盟している。
SACは、アパレルのサプライチェーン全体のサステナビリティを向上させるため、「工場」「ブランド」「製品」の3カテゴリーに分け評価基準・自己評価ツール「Higg Index」を提供している。評価には環境と社会・労働の双方の観点が含まれる。今回改訂されたHigg FEMは、工場向けの自己評価ツールである「Higg Index Facility」のうち、環境面の評価を担うもので、すでに世界8,000社以上が活用している。
今回の改訂バージョンでは、化学物質管理の観点で大きな強化があった。新基準づくりでは、Outdoor Industry AssociationとZero Discharge of Hazardous Chemicals(ZDHC)も作成に加わった。また改訂版は、新たな質問項目も加わっているが、関連する場合にのみ回答が求められる。
SACはサプライチェーン全体を活動に巻き込むために、SAC加盟企業に対し、サプライヤーにHigg Indexを用いた自己評価を促すよう要望している。SAC非加盟企業でもHigg Indexで自己評価を行いSACに報告することで、企業とサプライヤー間のデータをシステム上で連携させることができるようにもなっている。今回の改訂版Higg FEMについてSACは、2018年までに2万工場、400ブランドが評価を実施し、SACに情報登録するという目標も掲げた。
SACは、自己評価ツール「Hig Index」以外にも、Hig Indexで実施した結果を第三者認証するプログラムも用意している。Hig Indexで自己評価を行いスコアを得た企業も、対外的にスコアを表明するには、SACから許可を受けた機関による第三者認証を取得しなければならない。
【参照ページ】Sustainable Apparel Coalition Improves Transparency and Reduces Audit Fatigue Through Updated Tool
【機関サイト】Sustainable Apparel Coalition
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