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【イギリス】歳入税関庁、無給インターンシップの取締を強化。550社に警告書送付

 英国歳入税関庁は、賃金を支払わずにインターンシップを実施している企業550社以上に警告書を送付した。また、違法行為を繰り返す場合に備え専門チームを設置する準備を進めている。特に、違法行為の多い出版・メディア業界、舞台芸術業界、法律・会計事務所等の分野をターゲットにするという。また、近日中に最低賃金の支払いが法的に求められる事例を示すガイダンスも発行する予定。

 英教育NGOサットントラストによると、同国では毎年約7万人がインターンとして働いており、最近の調査では、40%以上の若者が無給インターンに参加した経験がある。しかし、交通費が支給されたとしても、インターンに参加するには、ロンドンで最低月額1,019ポンド(約15万円)、マンチェスターで827ポンド(約12万円)の生活費がかかり、貴重な体験とはいえ、低・中所得層の出身者には手が届かない状況。

 英最低賃金法では、多くの無給インターンシップが違法とされているが、政府は最近、過去に起訴に至った事例がないことを認めている。公正なインターンシップを支援する活動家たちは、全インターンシップに賃金が支払われ、募集は個別の交渉ではなく公式のサイト等で適切に行われる等の規制強化を要請している。また違法事例に関する通報制度の簡略化と、罰則強化も求めている。

 英雇用法は、「労働者」として活動している全ての人に賃金が支払うことを義務化している。しかし「労働者」の定義は、出勤日数等を含む複数の条件に基づいており、一律ではない。政府は、既存の政策と法的枠組みを見直すことをすでに宣言しており、企業が今回の取締強化により軌道修正しない場合には他の対応も検討するという。一方、最低賃金支払が義務化されない「純粋なボランティア」は同法の下でも認められており、無給インターンの抜け穴となっているとの指摘もある。

 新卒者に向けキャリアアドバイス支援Graduate Fogのタニヤ・デ・グランワルド氏は先頃、ファッション誌ヴォーグのロンドン事務所が、写真撮影のための布地サンプルの整理や、インタビュー記事のまとめ等の重要な業務を、「影の仕事」として1カ月間無給でインターンに担当させていたと歳入税関庁に通報した。同氏は、「無給のインターンシップは、参加者を利用し、雇用者の特権を常態化し、多様な才能を排除してしまう。期間は短いかもしれないが、ロンドンで無給で暮らすことは、ほとんどの若者にとって不可能だ」と語り、希望者が経済的な理由で参加を諦めざるを得ない現状を訴えた。

 ヴォーグの出版元であるコンデナストの広報担当者は、「影の仕事」を行っていた人たちは、学ぶためにオフィスにいたのであり、外部でのミーティングやインタビューに自由に出かけることができ、毎日オフィスに来る必要はなかった。従って最低賃金を支払う義務はなかったが、旅費の一部を支払ったと述べているという。

【参照ページ】The Sutton Trust :Unpaid, unadvertised, unfair
【参考ページ】Initiative to crack down on unpaid internships launched in UK
【参照ページ】Graduate Fog

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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