小売世界大手米ウォルマートは4月18日、2017年4月に発表したサプライチェーン上の二酸化炭素排出量削減プロジェクト「Project Gigaton」の進捗状況を報告。同社サプライヤーはすでに合計2,000万tの二酸化炭素排出量を削減したと発表した。今後も、太陽光発電や風力発電を拡大するとともに、電気自動車(EV)の充電ステーション設置を進めていく。
【参考】【アメリカ】ウォルマート、商品納入企業にCO2削減を要望する「Project Gigaton」始動(2017年4月27日)
Project Gigatonは、米国から始まり、すでに中国や英国のサプライヤーにも広がっている。現在の参加企業数は30ヶ国400社以上。サプライヤーは、「エネルギー」「廃棄物」「パッケージ」「農業」「森林破壊」「製品利用」の6分野のいずれかで二酸化炭素排出量削減が求められる。これまでのところ85%の削減量はエネルギー、製品利用の2分野に集中。背景には、再生可能エネルギーへの投資や省エネ商品の開発が含まれる。
今回の報告会議では、消費財大手米P&Gのコミットメントが注目を集めた。同社は2030年までに二酸化炭素排出量を5,000万t削減すると標榜。例えば、主力洗剤ブランド「Tide」のイニシアチブ「#QuickColdPledge」では、消費者に短時間の冷水による洗濯を促し、水消費量の削減、80%のエネルギー利用削減、そして二酸化炭素排出量の40%削減を呼びかけている。また、同社の北米事業に必要な電力を2020年までに100%再生可能エネルギーに転換する計画も掲げている。
サプライヤーの巻き込みに加え、EV充電ステーションの大規模な設置にも取り組んでいる。米34州のウォルマートとサムズ・クラブ店舗に、数百の充電ステーションを新たに設置。近い将来、合計1,000ステーションを達成する。新規ステーションは10分から30分と高速で充電を完了でき、買い物中に充電が完了できる。
再生可能エネルギー利用の拡大もウォルマートの注力分野。ウォルマートの目標は、2025年までに50%の電力を再生可能エネルギーで賄うこと。現在の28%から大幅に率を引き上げる。具体策の一つが米国内店舗のオンサイト太陽光発電で、今後新たに130の設備を設置する。設置が完了すれば、22州及びプエルトリコで合計500のオンサイト太陽光発電が設置されることになり、2014年に掲げた2020年までの設置数2倍という目標を早くも達成する。
また、Geronimo Energyとエンジーによる大規模風力発電所から12.6億kWhの電力購入契約(PPA)も結び、米中西部7州のウォルマート及びサムズ・クラブ店舗、配送センターの需要を賄う。また、アラバマ州でも新規設置された太陽光発電からグリーン電力証書を受けることで合意。電力量は年間1.5億kWhで、アラバマ州電力会社管轄エリアにおけるウォルマートの電力需要の40%を賄う。同様に、ジョージア州においてもグーグル及びGeorgia Powerと年間1億8,200万kWhの電力購入で合意しており、ジョージア州における電力需要の34%を再生可能エネルギーで賄う。
ウォルマートの再生可能エネルギー使用量は年間16億kWhに達する見込み。これは13万9,000世帯の年間需要に匹敵する量で、現在のウォルマートの米国での再生可能エネルギー使用料のほぼ2倍となる。
【参照ページ】Walmart Announces 20 MMT of Supplier Emission Reductions through Project Gigaton; Unveils Plans for Expanding Electric Vehicle Charging Stations and Doubling U.S. Wind and Solar Energy Use
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