年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は7月6日、2018年度末時点の各ESG株式インデックスでの運用額公表2017年度の業務概況書を発表した。
GPIFの2018年3月末時点の運用資産総額は156兆3,832億円。2017年度の運用利回りは6.9%で、運用益は10兆810億円。2001年の運用開始依頼の運用益は、63.4兆円となる。運用利回りから名目賃金上昇率を差し引いた「実質的な運用利回り」でも3.01%を実現。年金制度設計上は0.14%の運用利回りを想定しており、それを大幅に上回る成績となった。
GPIFは2017年7月、ESG株式インデックスとして、FTSE Blossom Japan Index(FTSE-BL)、MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数(MSCI-ESG)、MSCI日本株女性活躍指数(MSCI-WIN)の3つを選定。1兆円での運用を開始。さらに近い将来3兆円まで投資額を増やしたい考えを示していた。
各インデックスでの運用額は、
ESG株式インデックス運用額
インデックス | 受託運用会社 | 運用額 |
---|
FTSE-BL | ブラックロック | 4,389億円 |
FTSE-BL | アセットマネジメントOne | 878億円 |
MSCI-ESG | 三菱UFJ信託銀行 | 6,229億円 |
MSCI-WIN | 三菱UFJ信託銀行 | 3,884億円 |
今回の報告から、ESG株式インデックスでの運用額は合計1兆5,380億円に達していたことが明らかとなった。国内パッシブ株式投資の運用額合計は36兆8,076億円のため、ESG株式インデックス運用額の割合は約4.2%。
また、受託運用会社に対して重大なESG課題を聞いたアンケートでは、パッシブ運用の全受託運用会社が、気候変動、ダイバーシティ、不祥事、資本効率と回答。サプライチェーン、情報開示の回答もあった。アクティブ運用では、全受託運用会社が資本効率と回答。他には少数株主保護、コーポレートガバナンス、取締役会構成・評価の声も上がった。
GPIFのESG投資の意味を、ESG株式インデックスと誤解している人も多い。世界的にESG投資とは、ESGインデックスを用いた運用のことだけでなく、より広範な概念。GPIFは、全資産運用においてESGを考慮することを発表しており、特に国内パッシブ運用の投資先企業に対しては、受託運用会社を通じて、エンゲージメントを強化している。今後、債券でもESGの具体的な考慮が始まる見通し。
【参照ページ】平成29年度業務概況書
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